社内SEへの転職に有利な資格は?採用担当者は資格の●●を見てます!

社内SEへの転職に有利な資格

社内SEに転職したいけど、有利な資格ってあるの?

あります。
でも、さらに重要なのは「その資格取得の目的」なんです。

どういうこと??

 社内SEへの転職で、採用担当者はあなたの資格そのものと同じくらいどのような目的でその資格を取得したのかを見ています。あなたが保有している資格はどのような目的で取得しましたか?結論!社内SEへの転職ではつぎの目的で取得した資格が評価されます

転職面接で評価される資格の取得目的
  • 現在担当する業務のための資格取得
  • 将来担当したい業務のための資格取得

 この記事では、なぜ資格の取得目的が重視されるのかについて解説します。そのあとに、社内SEへの転職で有利になる具体的な資格名を具体的なポジションごとにご紹介します。

ブログ管理者のプロフィール
  • 文系大卒業後、国内大手SIerに就職
  • プロジェクトマネージャ&ソフトウェアエンジニア
  • その後、MBAでマネジメントやHR領域を学ぶ
  • 35歳をすぎてから大学の情報システム部門へ転職(競争倍率 約200倍)
  • SIerや情報システム部門で多くのシステム導入をマネジメント
目次

社内SEとは?

社内SEの仕事内容

 社内SEとは、企業内の情報システムの企画・計画、構築、導入、運用までを行うシステムエンジニアを指します。仕事内容は概ね下記のようなもので多岐にわたりますが、企業ごとにその責任範囲は異なります。専門領域ごとに分業化が進んでいるSIerと比較すると、社内SEのシステム企画から導入、運用まで仕事の幅が広いことがわかります。

  1. システム導入(システム開発含む)
  2. システム保守/運用
  3. PC等のIT資産管理
  4. ネットワークインフラ管理
  5. 情報セキュリティ関連
  6. システムやPC、ネットワークのヘルプデスク
  7. デジタルトランスフォーメーション推進
  8. システム監査対応

社内SEとベンダーのSEとの違い

 ベンダーのSEはシステムを導入したい事業会社からシステム開発を受注し、要件定義や設計、プログラミングやテストといった工程を担当し、プロジェクトが終わればチームは解散します。(一部のSEはシステムの保守・運用のために残ります)

 一方、社内SEは事業会社の中で働くSEのため、システム導入が終わっても長きにわたり、そのシステムの保守・運用に責任を持ちます。さらに、別のシステムの導入や更新プロジェクトが立ち上がれば、そのプロジェクトを担当します。

社内SEへの転職で資格が重要な理由

 社内SEはシステムの企画や開発・導入、システムやネットワークの維持・保守の仕事をしています。資格がなくても社内SEの仕事はできます。そのため中途採用では業務経験やスキルが重視されます。あなたの資格はスキルを裏付けるものとして採用担当者に「安心感」を与えるものと考えましょう。

 わたしは中途採用の書類選考と面接を担当していますが、採用担当者の視点で言えば「業務経験は盛られる」ことを前提に8掛けで聞いています。業務経験は主観的に語れてしまうものです。一方、保有資格は「盛る」ことができないので安心感が生まれるのです。

採用担当者の実は…

余談ですが、「盛られた業務経験」は採用担当者にバレていることがよくあります。面接官がその業務の素人であればバレませんが、一定の経験があればいくつか質問すればバレます。


過去に「プロジェクトマネージャとして10億円の案件を担当しました!」という求職者がいたので、「非常に興味深い!顧客名は伏せながら言える範囲で教えてください」と、つぎのような質問を1つずつ投げかけました。

  • 機器やソフトウェア費を除いて、何人月くらいのシステムでしたか?
  • そのうち、要件定義には何割くらい費用、どのくらいの期間が必要になりましたか?
  • 要件定義で持ち越し課題となったものって大変ですよね。どのように管理されたか教えてください。
  • これだけの大規模なシステム、品質管理はどのように進めましたか?

残念ながら、それぞれの数字や手法は10億円規模の案件として全くつじつまが合わず、本人の声は徐々に小さくなってしまいました。話が進んでいくと、本人の上にマネージャがいて、本人が担当していたのは1つのサブシステムだったことがわかりました。それでもすごいことなので、始めからそう言ってくれれば良かったのですが、あまりに心象が悪くなってしまいました。

盛る場合はしっかり作り込んでおかないと諸刃の剣になります。

採用担当は資格の「どこ」を見ているのか?

 社内SEへの転職では資格そのものも重要ですが、同じくらい「資格を取得した目的」を採用担当者は見ます。なぜなら、資格と担当業務やキャリアプランがマッチしない人が多いからです

 そのため、これから社内SEへの転職を目指す人は、つぎのような目的で資格取得を目指しましょう。あるいはそのような目的で資格を取得したと面接で説明しましょう。

転職面接で評価される資格の取得目的
  • 現在担当する業務のための資格取得
  • 将来担当したい業務のための資格取得

現在担当する業務のための資格取得

 担当している業務にマッチした資格を取得していると「この人は業務をより良くするために自己研鑽できる人物だ」と評価されやすいでしょう。

 例えば、採用担当者の立場でつぎのAさん・Bさんを比べてみましょう。

Aさんの経歴と資格

大学卒、現在29歳のアプリケーションエンジニア兼プログラマーです。今年、応用情報技術者を保有しました。
プロジェクト管理に関する業務経験はないが、現在プロジェクトマネージャ試験にチャレンジしています。

Bさんの経歴と資格

大学卒、アプリケーションエンジニアを経て、現在29歳でプロジェクトリーダー。
プログラマー時代のアピールできる成果はないが、同時期にネットワークスペシャリスト資格を取得。

応用情報技術者試験に今年合格し、現在は将来CIOになろうと勉強をしているといいます。

 いかがでしょうか?「Bさんはうちに転職しても仕事に集中してくれないかもしれない。現在のプロジェクトリーダー業務の勉強はしてるんだろうか?」と感じませんか?(もちろん採用担当者の好みもあるので一概には言えません)

 応用情報技術者は決して高度な資格ではありませんが、合格には100時間前後の対策が必要になります。つまり「基礎的な資格」であっても、業務のためにそれだけの自己投資ができるという「姿勢」が評価されるのです。 

将来担当したい業務のための資格取得

 現在担当している業務にマッチする資格をすでに保有している人は、将来担当したい業務のための資格を目指しましょう。これによって、採用担当者は「この人は将来のビジョンを持って自己研鑽できる人物だ」と評価します。

 先ほどの例ではAさんがそのタイプだと評価されやすいと言えます。現在の業務に関わる応用情報技術者を取得し、つぎのステップとしてプロジェクトマネージャ試験にチャレンジしています。

 一方、Bさんも「将来、CIOになるための勉強をしている」と言っています。しかし残念ながら、これは高く評価されない可能性があります。なぜなら、現在の業務であるプロジェクトリーダーとしての勉強がおろそかになっており、過去にもプログラマー時代に基本情報や応用情報を取ってこなかったためです。

 「現在の担当業務」と「地に足のついたキャリアプラン」に合致する資格の方が高く評価される可能性が高いことを覚えておきましょう。

社内SEへの転職に有利な資格

 では、社内SEへの転職で有利になる資格について解説していきます。ここまで解説したようにあなたが「これまで担当してきた業務」「将来担当したい業務」とマッチしていることが重要です。

資格1 システム企画なら『ITストラテジスト』

 ITエンジニアとしてこれまでシステム企画フェーズを担当した、あるいはこれから担当したいという方には『ITストラテジスト試験』がおすすめです。ITの基本的な問題より、企業経営やビジネスモデルに関する知識を問う問題が多く、合格率が過去に低かったこともあるため、最上級に評価される資格の一つと言ってよいでしょう。

 一方、マネージャーではなくメンバーとして担当してきた場合、ITストラテジストが難しいなら無理せず若手コンサルタントのようにビジネス全般の知識やコンサルティング・フレームワークの勉強と実践が重要です。これらの経験とスキルを具体的に書類や面接や説明できれば十分に評価されるでしょう。私がおすすめするのは『コンサル一年目が学ぶこと』です。

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資格2 システム導入マネージャーなら『PMP』または『PM』

 システム導入プロジェクトをマネージャーの立場で経験してきた人には『PMP』、または『プロジェクトマネージャ』(PM)試験がおすすめです。PMP、またはPMを保有したうえで成果があがっていると「名ばかりではなく知識に裏付けられたスキルを持っている人だ」という評価になります。

 過去にPMPやプロジェクトマネージャの対策記事を多数発信していますので、ぜひ参考にしてください。

資格3 システム導入メンバーなら『基本情報』『応用情報』

 システム導入プロジェクトにメンバーの立場で携わってきた方は、『基本情報技術者』や『応用情報技術者』がおすすめです。これらの試験には、ハードウェアからソフトウェア、データベース、ネットワーク、システム開発手法など広く浅く知識が必要になります。

 基本情報技術者と応用情報技術者は高度な資格ではありませんが、メンバーとして広範囲に渡って担当できる基礎力が身についていることは非常に高く評価されます

 対策としては、実務経験者なら「基礎がわかりやすく解説されたテキスト」と「過去問5〜10回分」だけで十分に合格できます。基本情報技術者の場合、出題数の約40%が過去問からそのまま出題されたケースがあります。応用情報技術者もまったく新規の問題は20%程度と言われており、過去問対策が有効な試験と言えます。

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資格4 システム管理なら『ITサービスマネージャ』

 システムの保守・運用にマネージャーの立場で携わっている場合は、『ITサービスマネージャ』試験がおすすめです。認知度はあまり高くありませんが、ITストラテジストやプロジェクトマネージャと並ぶ高度試験の1つです。

 ITサービスマネージャ試験は『ITIL』というグローバルなシステム運用の計画・実行・評価に関するフレームワーク(正確にはベストプラクティス)をベースに出題されます。

 でも安心してください。システム運用に関わった方であれば、ITILはすでに実務の現場で活用された考え方であり、非常に馴染みやすい内容です。例えば、ITILのインシデント管理や変更管理、リリース管理、IT資産管理といった工程、システム運用をされていればかんたんに説明できますよね?

資格5 システム運用なら具体的なベンダー資格が吉

 システムの保守・運用をメンバーの立場で担当している場合は、そのシステムが利用している技術要素に関わる資格がよいでしょう。プログラム言語やデータベース、ネットワーク機器に関わるベンダー資格が中心になります。

 例えば、運用しているシステムがOracleデータベースを使っていればオラクルマスターですし、管理システムサーバーがawsの場合はAWS認定試験です。

 このように担当者レベルとして、技術力を高める努力ができ、それを資格取得という形で残せることが評価されます。そうすれば、もしも志望企業側ではデータベースにOracle以外を使っていても、高く評価されて採用につながる可能性がぐっと高まると言えます。

まとめ

 この記事では、社内SEへの転職で有利な資格について解説しました。システムの企画・導入・運用の各フェーズに応じて、有利な資格は以下のとおりです。

転職面接で評価される資格の取得目的

システム企画フェーズ

  • ITストラテジスト

システム導入フェーズ

  • PMP
  • プロジェクトマネージャ
  • 基本情報技術者
  • 応用情報技術者

システム運用フェーズ

  • ITサービスマネージャ
  • 保守・運用するシステムに関わる各ベンダー資格(オラクルマスター、AWS認定試験など)

 資格そのものと同じくらい「どのような目的でその資格を取得したのか」を採用担当者は見ています。それはあなたが「業務をより良くするために自己研鑽できる人物か」「地に足のついたキャリアプランがある人物か」を評価するためです。

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