PMPかプロジェクトマネージャ(PM)試験かあなたが取るべき資格はどっち!?難易度、費用、評価を徹底比較!

 日本にはプロジェクトマネジメントに関する有名な資格試験が2つあります。PMPとプロジェクトマネージャ(PM)試験です。

 どちらもそれぞれ大きく異なる特徴を持っており、費用も難易度も大きく異なります。ですが、私のおすすめはPMPです。PMPの受験を決めている人は過去記事『【2021年新試験対応】PMP試験とは?受験資格や難易度、テキスト・参考書・問題集を紹介!50時間で一発合格した勉強方法を解説!』でぜひ対策を進めてください。

 この記事では、私自身がPMPとプロジェクトマネージャ試験の両方に合格した経験からこの2つの試験を比較して、あなたへのおすすめをお伝えします。

この記事でわかること
  • PMPとプロジェクトマネージャ試験の難易度や費用を比較します。
  • 私がPMPをおすすめする理由を説明します。
  • ただし、プロジェクトマネージャ試験が良いケースも説明します。
てっとり早く年収アップしたい方向け

・すでにPMPやPM(IPA)を保有している
・PMPレベルの実務経験がある
という方向けの年収アップの最短ルートはたった2つに絞られます。

① 総合コンサルティングファームへの転職

総合コンサルへの転職に強いのは『アクシスコンサルティング』です。大手コンサルファームへの転職支援数トップで、BIG4やアクセンチュアなどの総合コンサルティングファームの非公開求人案件を取り扱っています。

アクシスコンサルティング』を見るとわかりますが、大手総合コンサルはほぼすべて取り扱っています。

② 外資系グローバル企業へのハイクラス転職

グローバル企業や外資系企業、ハイクラスな転職を狙うなら『Samurai Job』がおすすめです。特に30代〜40代の転職希望者で課長職〜部長職を取り扱っており、さらに技術職や専門職にも強みがあります。『Samurai Job』だけが扱っている求人案件もあるため、登録しておくことをおすすめします。

ブログ管理者のプロフィール
  • 文系大卒業後、国内大手SIerに就職
  • PMP&IPAプロジェクトマネージャ(PM)試験 ホルダー
  • MBAでマネジメントやHR領域を学ぶ
  • 35歳をすぎてから大学の情報システム部門へ転職
  • システム戦略・企画、プロジェクトマネジメント担当
目次

試験要領の比較

 まずは、PMPとプロジェクトマネージャ試験の試験要領や出題形式、費用、合格率、実施頻度を比較しましょう。

PMPプロジェクトマネージャ試験      
出題形式マークシート 200問午前1:マークシート 30問
午前2:マークシート 25問
午後1:記述式 3問中2問解答
午後2:論述式 2問中1問解答
試験時間4時間5時間(各時間区分の合計)
受験資格制限あり
・プロジェクトマネジメント経験
・プロジェクトマネジメント研修受講
※ 詳細は公式WEBサイト参照
制限なし
受験費用約6万円(555ドル)7,500円
更新3年毎(CCRサイクル)に必要
・更新費用 約1.6万円(150ドル)
・約60時間/3年間 の研修受講が必要
不要
合格率非公表
一般的に60%程度と言われることが多い
15%程度
実施頻度毎日。1回の申し込みで3回受験可
※ 受験承認メール受信後、日と場所を決める
年に1回
実施場所全国10都市
※ 詳細は公式WEBサイト参照
全国62都市
PMPとプロジェクトマネージャ(PM)試験を比較

比較① 求められる知識と難易度

結論:必要な知識はどちらもPMBOK!でも難易度が低いのはPMP!

 PMPもプロジェクトマネージャ試験も求められる知識は『PMBOK(Project Management Body of Knowledge)』で、要求される知識レベルも同等です(IPAが定義するITスキル標準ITSSにおいて、PMPはレベル3、プロジェクトマネージャ試験はレベル4に位置づけられていますが、個人の感想にはなりますが、求められるPMBOKのレベルは同等と感じます)。

PMBOK(Project Management Body of Knowledge)は、プロジェクトマネジメントの知識を体系化したものであり、複数の知識エリアから定義されているものである。また、ソフトウェア開発のプロジェクト管理において必要な知識体系である。

引用:ウィキペディア(PMBOK)https://ja.wikipedia.org/wiki/PMBOK

2021年1月のPMP試験の改定(公式アナウンスはこちら。日本語訳はこちら)によって、PMBOK第7版の要素(特にアジャイル開発)がPMP試験に反映されます。ただし、PMBOK第7版は試験範囲の一部であるため、「PMBOK第6版」+「アジャイル実践ガイド」で対策するのがおすすめです。

 難易度が低いのはPMPだと言えます。プロジェクトマネージャ試験に求められる知識はPMBOK以外にも広く浅くあります。また、解答テクニックも特殊でクセのあるものです。一方PMPはCBTの選択式ですので、PMBOKに限定した本質的な対策だけで済むためです。この点について知りたい方は下記の記事を参照してください。

比較② 出題形式

結論:PMPの方が受験テクニックの習得時間は短くて済む

 同じ知識を問うために、PMPはマークシート形式、プロジェクトマネージャ試験はマークシートに加えて記述式、論述式の試験を行います。そして、それぞれに試験のクセがあるんです。

 PMPは国際的な資格であるため、問題文は英語で出題されます。その下に日本語訳が併記されているのですが、この日本語訳がビックリするくらい機械翻訳なんです。現物を確認すればわかってもらえるはずです。サンプル問題を掲載しているサイトをご紹介します。油断すると「えっ!?何を問われてるのかさえわからない!」となります。

 プロジェクトマネージャ試験は、午後2の論述試験が特徴的です。出題される特定のシチュエーションに関して、自分の経験や考えに基づいて説明する形式で120分で約2,200〜3,600文字の小論文を完成させる必要があります。PMBOKの知識がバッチリであっても、この試験形式用に対策をしないと合格は難しいと感じます。

求められる知識レベルは同等で、試験範囲はPMBOKそのもの!ただし、出題形式に特徴あり。

比較③ 必要な費用

結論:コスパならプロジェクトマネージャ試験!

 PMPとプロジェクトマネージャ試験とで受験、資格の維持に必要な費用はどの程度違うのか比べてみました。

 PMPは受験に約25万円、3年毎(CCRサイクル)の更新に約30万円程度が必要です。詳細は以下のとおりです。個人で負担するにはかなり高額なため、会社に所属されている方は、会社の研修制度を活用することをおすすめします。私も受験したときは会社の研修制度を利用して、PMI認定のPDUを発行してくれる研修を受講しました。

費用項目費用備考
受験資格に必要な35PDU約15〜20万円35PDUは7時間の研修5日分
プロジェクトマネージャ関連の研修は3〜5万円/日 程度かかる。
受験料約6万円(555ドル)
更新料(3年毎)約1.6万円(150ドル)
更新に必要な60PDU約25〜30万円受験資格と同じ計算。

 一方、プロジェクトマネージャ試験は経済産業省が実施する試験ということもあり、5,700円と超絶コスパが良いです。さらに更新も不要のため、良いか悪いかは別として一度合格すれば、維持費用は不要です。

プロジェクトマネージャはコスパ最高!PMPは受験に25万円、更新に30万円/3年と割高。会社の研修制度を活用すべし。

比較④ 受験チャンス(実施頻度)

結論:圧倒的にPMPが良い!PMPなら年に最大3回受験可能

 PMPは毎日開催されており、あなたが一度申し込んで、受験が承認されると、1年間の間に最大3回まで受験可能です。3回不合格が続くと、その後1年間はPMPを受験できません。とはいえ、自分の都合の良いタイミングで3回も受験のチャンスがあるのは、忙しい受験者にとっては非常にありがたいルールです。

 プロジェクトマネージャ試験は1年に1回だけ開催されるため、1回不合格になると、また来年まで待たなければいけません。1年後となると、仕事の状況も読みにくく、受験できるような状態かもしれません。そんな状態で1年間モチベーションを維持するのは大変な作業です。

比較⑤ 受験会場

結論:PMPは主要10都市、プロジェクトマネージャ試験は全国62都市

 PMPの試験会場は全国の主要10都市に限られます。実はこれでも増えたんです。私が受験したときはたしか5会場くらいでした。2019年から札幌市、仙台市、東京都千代田区、横浜市、名古屋市、大阪市、高松市、広島市、福岡市、那覇市で受験が可能になりました。それでも地方にお住まいの場合は、参加のために新幹線に乗ったり、宿泊を伴うケースが発生しそうです。

 一方、プロジェクトマネージャ試験の試験会場は全国62都市で開催されるため、地方在住の方でも比較的近くで受験できそうです。

1年間で受験できる回数はPMPが有利だが、地方在住者はPMP会場が遠いケースも。

比較⑥ 周囲からの評価

結論:IT業界なら同等、非IT業界ならプロジェクトマネージャ試験

 あなたがPMP、またはプロジェクトマネージャ試験に合格した場合、周囲からどのように評価されるのかは気になるポイントかと思います。

 まず、IT業界における知名度は断然PMPでしょう。PMPは世界中で実施されている資格試験で、保有者数も世界で約75万人、日本国内においても約3.5万人です。一方、プロジェクトマネージャは情報処理推進機構(IPA)が日本国内においてのみ実施する試験のため、保有者数は2.4万人程度です。海外のベンダーや開発チームと仕事をする機会が多い方はPMPがおすすめです。プロジェクトマネージャ試験のことを知っている海外のITエンジニアはほぼいないでしょう。

 ただし、SIerや情報システム部門でもないかぎり、日本国内においてPMPを知っている人は多くありません。それよりも「経済産業相が認定してくれる試験」であるプロジェクトマネージャ試験の方が評価が高いのかもしれません。

 個人の感想ですが、SIerや情報システム部門においては、PMPとプロジェクトマネージャ試験の評価は大差ないと感じます。どちらも「PMBOKについて一定のレベルで理解している人」という評価です。プロジェクトマネージャ試験をはじめとする高度試験は論文が難しいというイメージを強く持っている人にとってはプロジェクトマネージャ試験に合格していると言うと、一目置かれるかもしれませんが、論文試験が難しいと考える人は年配の方に多く、対して評価に差はないというのが私の実感です。

結論!私が『PMP』をおすすめする3つの理由!ただし、一部の人を除く。

 PMPとプロジェクトマネージャ試験をいろんな角度で比較してきましたが、私がおすすめするのは『PMP』です。その理由について説明していきます。なお、PMP合格のための対策ガイドをまとめた記事がありますので、ぜひご覧ください。

理由① PMPは不合格でも年に3回まで受験できるから!

 プロジェクトマネージャ試験よりPMPをおすすめする理由の1つ目は、試験のタイミングとトライできる回数です。プロジェクトマネージャ試験は4月の第3日曜日だけで、試験対策を始めるタイミングにもよりますが、試験日まで待つ必要があります。さらに不幸にも不合格しようものなら、1年間待たなければ受験できません。これは忙しいエンジニアにとって致命的とも言えます。

 一方、PMPは受験申し込みが承認されたら、あなたが望むタイミングで受験することができます。また、もしも不合格となってしまった場合にも、1年間のうちに最大3回受験することができます。

理由② 求められるのは知識!PMPはムダな論文試験対策が不要だから!

 PMPをおすすめする理由の2つ目は、試験の出題形式です。PMPは純粋にPMBOKの知識レベルの有無を問うマークシート形式です。日本語訳は少しクセがありますが、勉強しているうちに慣れてきます。

 一方、プロジェクトマネージャ試験は午後2の論述試験が厄介です。というのも、しっかりと対策をすれば午後2試験に合格するのは難しくないのですが、その対策にそれなりの時間がかかります。私はこれに30〜40時間ほど準備しました。その準備というのは純粋にPMBOKの勉強ではなく、午後2試験用のテクニックに関する対策です。忙しいエンジニアがこのような「試験のためのテクニック対策」に時間を費やすのは非常にもったいないと感じます。

理由③ 早く資格取得して、現場で実践した方が身につくから!

 最後に、私がPMPをおすすめする3つ目のポイントは、早期に知識をアウトプットできる点です。試験対策や春の試験まで待つよりも、早急にPMBOKを勉強して、資格取得してしまい、それを実践することの方がエンジニアとして、プロジェクトマネージャとして成長スピードが早いと感じるためです。

 一度不合格になると、さらに1年間待つことになります。それであれば、3回のチャンスの中で早く合格してしまい、それを実際の仕事の中で活用することで、知識を経験として定着させることの方がスキル向上が見込めます。PMPもプロジェクトマネージャ試験も知識のインプットであるため、それをアウトプットしないと成長にはつながりません

PMPをおすすめするポイント
1. 受験機会が「早い」「多い」
2. 試験のためのテクニック対策が少なくて済む
3. 早期に知識をアウトプットして成長できる

PMP受験資格に必要なPDUを格安で取得する方法

 受験資格に必要なPDUを取得するために認定研修の費用を自己負担で受験されるケースでは、その費用の問題が発生します。認定研修に参加すれば1日(7~8PDU)あたり5~10万円程度かかります。受験に必要な35PDUなら、少なく見積もっても約30万円程度かかる計算です。かなり高価ですよね。

 それを24,000円で済ませる方法があります。それがオンライン学習サービス『Udemy』のPMP資格取得対策講座『PMP Exam Prep Project Management Professional Certification』です。すべて受講すると、受験資格の35PDUが取得可能です。受験資格の35PDUを自己負担する人で、かつ安く取得したい人には非常におすすめです。私も2021年新試験でアジャイル開発が追加されたことを機にこの動画を購入しましたが、非常におすすめできる内容でした。

 なお、Udemyのコースを修了すると、修了証明書をダウンロードすることが可能になります。ダウンロードの手順は『ブラウザーで修了証明書をダウンロードする方法』をご参照ください。

  • 48,000名以上が受講し、5段階中4.4の超高評価
  • 新試験に対応するようコースが常にメンテナンスされている(最終更新2021年4月)
  • 1つの動画が3〜4分程度に切られていて、聞きやすい
  • 計360本、20時間を超えるボリュームでPMP試験範囲を広くカバー
  • 常にスライドを示しながら解説されるのでわかりやすい
  • 全編解説は英語!でも非常に聞き取りやすい発音。サンプルを聞いてください
  • 字幕もテキストも英語。でもIT用語なので理解しやすい(私の英語は高卒レベルですが理解できました)
  • スライドは文字が多いので、図解があるともっとわかりやすかった(PMBOK片手で補完できます)
PMP Exam Prep Project Management Professional Certification
2021年3月更新

2021年3月更新
これまでUdemyでは日本語で35PDU取得可能なコースが用意されていましたが、削除されたようです。そのため、これに代えてPDU取得可能で字幕がありもっとも聞き取りやすいと感じたコース『PMP Exam Prep Project Management Professional Certification』をご紹介しています。2021年の改定にも対応しています。

ただし、こういう人はプロジェクトマネージャがおすすめ!

 「断然PMPがおすすめです!」と言いましたが、次のような人にはプロジェクトマネージャ試験がおすすめです。

プロジェクトマネージャ試験をおすすめしたい人
・PMPの受験資格を満たさない人(プロジェクトマネージャ経験が大学卒業の場合3年未満、高校卒業の場合5年未満)
・受験のための予算が限られる人で、かつ、所属する会社の研修制度を利用してPDUが取得できそうにない人
・若い人で、プロジェクトマネージャ試験に限らず、今後その他の高度試験(情報処理技術者)を受験予定の人

 特に若い(35歳未満くらいの)方はPMPではなく、プロジェクトマネージャ試験を目指すのも良いでしょう。実務経験がPMPの受験資格を満たしていないケースも考えられますし、今後も午後2で論述試験が課される高度試験を受験する場合は、プロジェクトマネージャ試験で午後2対策を覚えてしまうのもいいでしょう。

 実際、私もプロジェクトマネージャ試験の午後2対策をしっかりやったおかげで、その他の高度試験のうち、ITサービスマネージャとITストラテジストの2つの試験区分に合格しています。テクニックは一度覚えてしまえば他の高度試験に流用できるので、無駄にはありません。高度試験の合格のコツをまとめたエントリーがありますので、ぜひ参考にしてください。

さぁ、PMP受験の準備をはじめましょう!

 いかがだったでしょうか?PMPとプロジェクトマネージャ試験をいろんな角度で比較してきましたが、私がおすすめするのは『PMP』です。PMP合格のための対策ガイドをまとめた記事を用意していますので、ぜひご覧ください。

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