【2024年最新】PMP試験の2021年改定内容とアジャイルへの対策方法を解説!

PMP改定20210102

 PMP試験は4,5年おきに改定されますが、2021年1月2日実施分からPMP試験が改定されることがアナウンスされていました。この記事では、PMPホルダーの視点から今回の改定内容と対策方法、参考テキストについて解説します。

この記事でわかること
  • 2021年1月2日からの改定内容(新旧比較)
  • 改定後の試験対策テキストの国内販売状況、出版予定
  • 新アプローチ「アジャイル型」の対策方法
ブログ管理者のプロフィール
  • 文系大卒業後、国内大手SIerに就職
  • PMP&IPAプロジェクトマネージャ(PM)ホルダー
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  • システム戦略・企画、プロジェクトマネジメント担当
目次

2021年1月2日からのPMP試験改定の内容は?

 改定内容について、試験を実施するPMI(Project Management Institute)からの公式のアナウンス(日本語訳はこちら)を確認してみましょう。改定による変更点は大きく以下の2点であることがわかります。

変更点1
従来は「立ち上げ〜計画〜実行〜監視・コントロール〜終結」というプロセスの切り口で出題されていたが、改定後は「人(People)」「プロセス(Process)」「ビジネス環境(Business Environment)」という3つのドメインの切り口から出題される。

改定後(2021年1月2日〜)

ドメイン出題割合
人(People)42%
プロセス(Process)50%
ビジネス環境(Business Environment)8%

改定前(2020年12月31日まで)

プロセス出題割合
立ち上げ(Initiating)13%
計画(Planning)24%
実行(Executing)31%
監視・コントロール(Monitoring and Controlling)25%
終結(Closing)7%

 従来がプロジェクトのプロセスを切り口にしていたのに対して、改定後は「人・プロセス・ビジネス環境」を切り口にしています。人が42%、プロセスが50%、ビジネス環境が8%の割合で出題されます。これ自体は従来の試験範囲の切り口が変わったというだけで大きな問題はないでしょう。むしろ、次の変更点2のインパクトの方が大きいでしょう。

変更点2
従来は純粋なウォーターフォール型のプロジェクトを想定した出題であったが、改定後は「予測型プロジェクトマネジメント・アプローチ」に加えて、「アジャイル型プロジェクトマネジメント・アプローチ」からも出題される。その割合は、予測型が50%、アジャイル型またはハイブリッド型が50%である。

 従来の予測型(ウォーターフォール・モデル)に加えて、アジャイル型やそのハイブリッド型が出題の半分(50%)を占めると言われています。これまでの予測型とアジャイル型ではプロジェクトの計画もコントロールも変わってきますので、試験対策の範囲が広がることになります。

PMBOK第6版から第7版への変更

2021年1月のPMP試験変更は、PMBOK第6版から第7版への変更に基づいています。ただ、単純に第7版だけを読めばよいかと言うとそうではないんです。第6版と第7版(主にアジャイル開発)の両方をカバーする必要があります。

では、具体的にPMBOK第7版はどのような内容で、第6版からどのようにキャッチアップすればよいのか気になりますよね。このニーズにしっかりと答えてくれるUdemyコース『プロジェクト管理の世界標準「PMBOK」の内容と第7版の変更概要を簡単解説』をご紹介します。

講師の村松 倫明さんはプロジェクトマネージャ(PM)試験の対策テキストを多数執筆されていて、プロジェクトマネジメント教育の世界では有名な方です。その村松さんがPMBOK第6版の基礎、第7版の変更点や「原理・原則」「パフォーマンス領域」といった第7版で変更された点をコンパクトに解説されています。

解説は変更点を比較する表や図解に沿っていて非常にわかりやすいので、新試験に対応したPMP対策に着手する前に手っ取り早く概要を押さえたい方には強くおすすめできます。

プロジェクト管理の世界標準「PMBOK」の内容と第7版の変更概要を簡単解説

改定に対応したテキストの国内販売状況

 今回の改定に完全に対応したオールインワンなテキストは、私が調べたかぎりでは現時点(2022.1月現在)で国内販売されていません

 そのため、従来のPMBOKガイド 第6版をベースにしながら、アジャイル型プロジェクトマネジメント・アプローチに関する知識を積み上げる方法が有効と言えそうです。では、アジャイル型プロジェクトマネジメント・アプローチの知識はどのような方法で習得するべきでしょうか。従来の対策方法については過去の記事で紹介していますので、参考にしてください。

2022年2月1日更新
PMBOK第7版の日本語版書籍が2021年10月26日に販売開始(英語版は2021年8月1日公開済み)されました。しかしながら、PMP試験合格にはPMBOK第7版だけでは不十分と言えます。というのもPMBOK第7版は『12の原理原則に基づき、テーラリングを利用して8つのパフォーマンス領域を進める』という考えに基づき270ページ足らずの内容(PMBOK第6版は700ページ超)であり、PMP試験で出題される「How=どう実現するか、どう意思決定するか」まで記載されていません。

そのため、2022年2月時点ではPMBOK第6版+アジャイル型アプローチを中心にインプットする方法がよいでしょう。なぜなら、PMP試験は上述の変更点2のとおり、予測型(ウォーターフォール・モデル)から50%、アジャイル型から50%出題されるためです。

2022年2月1日更新
PMIは認定教育提供者に対して、「PMP試験は徐々に変更するため、PMBOK第7版がリリースされたことによる直接的な影響はない」と発信しています。

アジャイル型プロジェクトマネジメントの参考テキストを紹介

 重要なポイントであるため繰り返しますが、変更点2(アジャイル型プロジェクトマネジメント・アプローチ)への対応が非常に重要なポイントです。この点について、PMIが公式WEBで示している参考テキスト(PMP Exam Reference List)を読み込むのが良いでしょう。日本語訳の状況は以下のとおりです。

 PMBOKガイド 第6版はPMP全般に関するテキストですので、アジャイル型プロジェクトマネジメント・アプローチに特化した学習は『アジャイル実務ガイド』『エッセンシャル スクラム: アジャイル開発に関わるすべての人のための完全攻略ガイド』が良いでしょう。

スクロールできます
日本語訳原著タイトル日本語訳タイトル
Agile Practice Guideアジャイル実務ガイド
A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK® Guide) – 6th Editionプロジェクトマネジメント知識体系ガイド PMBOKガイド 第6版
×Project Management: A Systems Approach to Planning, Scheduling, and Controlling
×Effective Project Management: Traditional, Agile, Extreme, Hybrid
×Fundamentals of Technology Project Management, 2nd Edition
×Project Managers Portable Handbook, 3rd Edition
×Information Technology Project Management, 7th Edition
Essential Scrum: A Practical Guide to the Most Popular Agile Processエッセンシャル スクラム: アジャイル開発に関わるすべての人のための完全攻略ガイド
×Project Management: The Managerial Process
×The Project Management Tool Kit: 100 Tips and Techniques for Getting the Job Done Right
PMI公式WEBの「PMP Exam Reference List」に日本語訳の有無状況を付記(2020年12月末時点 xTech.tv調べ)

 上記2冊とも読んでおくことが望ましいのですが、どちらか1冊を選ぶなら、『アジャイル実務ガイド』がおすすめです。理由は2点あります。出版年と出版社がその理由です。

 まず出版年は『アジャイル実務ガイド』の方がずいぶんと新しいため、最新の事情を汲んでいることが期待できます。次に出版社ですが、これまでPMP試験はPMIの公式テキストを使った対策が実りやすい試験でした。『アジャイル実務ガイド』はPMIが出版しており、本番の試験問題との高い整合性が期待できます。

アジャイル型の知識を毎日の通勤時間で身につける!

 これからPMPの受験を目指す方で、アジャイル開発の経験がない(あるいは少ない)という方は多いのではないでしょうか?そこでいきなりPMIの公式テキストと向き合うのではなく、プロジェクトマネジメントを含む「開発アプローチ」としてのアジャイルを勉強してみてはいかがでしょうか

アジャイル開発の基本を身につける

 Udemy では人気講師の酒井 潤さんによる『現役シリコンバレーエンジニアが教えるアジャイル開発』が非常にわかりやすく、これからアジャイル開発を学ぶ方に最適に内容と思います。動画の再生速度の変更方法から解説されていて、Udemyを使った初学者にも丁寧な内容です。

 「アジャイルの歴史」「アジャイルの原則」「計画の立て方」「スクラムやスプリントなど用語の説明」「具体的な開発ツールの紹介」といった内容で、アジャイル開発を始めるのに十分な内容です。それに加えて、「コーヒーブレイク」で酒井さんがシリコンバレーを紹介されていて観ていて飽きさせない内容です。

現役シリコンバレーエンジニアが教えるアジャイル開発

2021年改定に対応したPMP試験対策コース

 また、2021年1月のPMP試験改定に対応したコース『「PMP®認定試験」で一発合格を目指す! 効率的な試験対策のための戦略コース (2021) アジャイル対応』も合わせて活用できそうです。PMP試験全体を学習対象にしています。

 動画の章立てはPMBOK第6版のプロセス・知識エリアに分けられており、最後にアジャイル・アプローチについて70分以上のセッションが追加されています。ポイントを押さえた説明と例題を使った解説で非常にわかりやすい内容でした。

おすすめポイント!
  • ポイントが図解され、易しい表現で解説!
  • 2021年1月PMP試験改定の影響についても解説!
  • 改定後に必要となったアジャイルアプローチについても解説!
  • 1つの動画が5〜10分で、スキマ時間に学びやすい!
  • ★★★★☆ 4.2(5段階評価)と非常に高い評価!
「PMP®認定試験」で一発合格を目指す! 効率的な試験対策のための戦略コース (2021) アジャイル対応

まとめ

 いかがだったでしょうか?この記事では2021年1月2日から改定されたPMP試験の改定ポイントとその対応策について解説しました。変更点は大きく2点ですね。

変更点1 人、プロセス、ビジネス環境という切り口に変わった
変更点2 ウォーターフォールに加えてアジャイル開発も出題される

 特に変更点2「アジャイル開発」が出題の半数を占めるようになるところへの対策が必要です。PMIは公式WEBサイトで参考書を10冊紹介しています。そのうち日本語訳があるアジャイル開発に関する参考書は『アジャイル実務ガイド』と『エッセンシャル スクラム: アジャイル開発に関わるすべての人のための完全攻略ガイド』の2冊です。特に1冊目の『アジャイル実務ガイド』がおすすめです。

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 最後に、これまで xTech.tv で紹介してきたPMPの対策に関する記事をこちらでもまとめて掲載しておきます。ぜひ参考にしてください!

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