高度試験(情報処理技術者)合格のコツ!必要な3つのスキル!

 情報処理推進機構(IPA)が実施する「情報処理技術者試験」は、合格者に求められれるレベルに応じて下表のとおりレベル分けがされています。このエントリーで紹介する3つのスキルは、レベル4にあたる高度試験のうち、下線を引いた「ITストラテジスト」「システムアーキテクト」「プロジェクトマネージャ」「ITサービスマネージャ」「システム監査技術者」を対象にしています。

レベル試験区分
レベル1・ITパスポート
レベル2・基本情報技術者試験
・情報セキュリティマネジメント
レベル3・応用情報技術者試験
レベル4
(高度試験)
・ITストラテジスト
・システムアーキテクト
・プロジェクトマネージャ
・ITサービスマネージャ
・システム監査技術者

・ネットワークスペシャリスト
・データベーススペシャリスト
・エンデベッドシステムスペシャリスト
・情報処理安全確保支援士
情報処理推進機構(IPA)試験要綱 https://www.jitec.ipa.go.jp/1_13download/youkou_ver4_5.pdf

この記事では高度試験(情報処理技術者試験)のうち、「ITストラテジスト」「システムアーキテクト」「プロジェクトマネージャ」「ITサービスマネージャ」「システム監査技術者」の合格に必要な3つのスキルについて説明します。

ブログ管理者のプロフィール
  • 文系大卒業後、国内大手SIerに就職
  • PMP&プロジェクトマネージャ&ITストラテジスト ホルダー
  • MBAでマネジメントやHR領域を学ぶ
  • 35歳をすぎてから大学の情報システム部門へ転職(競争倍率 約200倍)
  • 情報システム部門の中途採用者の書類選考、面接を担当
目次

高度試験(情報処理技術者試験)の構成と評価ポイント

試験構成

高度試験の試験時間・出題形式・問題数(解答数)は例年下表のとおりです。

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午前1午前2午後1午後2
試験時間9:30-10:20(50分)10:50-11:30(40分)12:30-14:00(90分)14:30-16:30(120分)
出題形式マークシート形式
(四肢択一)
マークシート形式
(四肢択一)
記述式論述式
出題数(解答数)30問(30問)25問(25問)4問(2問)または
3問(2問)
3問(1問)または
2問(1問)
基準点60点60点60点ランクA
IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 プロジェクトマネージャ試験 を参考に記載

評価ポイント

 午前1・午前2はマークシート形式で知識の有無を問う内容のため、「知っているかどうか」がすべてです。

一方、午後1の記述式、午後2の論述式はそうではありません。午後1は問題文を正確に理解し、問われていることに本文の内容から正確に解答する必要があります。午後2は論述の具体性や一貫性、見識等を問うことが試験要綱にしっかりと定義されています。

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NoIPAの観点論文で記述すべき事項
1設問で要求した項目の充足度本文の後には例年設問ア〜ウがあり、それぞれ指定する文字数以内で答えることが求められます。
それら問われている内容に対して、結論先出しで書き始める。
2論述の具体性抽象的な表現ばかりが続かないように、具体的な数字(金額、期間、人数等)を入れる。
3内容の妥当性「私は〜することを計画した」と述べる場合に、その決断、選択が妥当なものかが問われる。
気をつけるべき点として、例えばプロジェクトマネージャなら、採点者に「この人、プロマネじゃなく、SEリーダーだ」と思われてしまうと「妥当性」が疑われるため、「私はプロジェクトマネージャの立場で、XXXをした」と明示的に書くほうが良い。
4論理の一貫性論文の構成を考えた時点、書き終えた時点でそれぞれ論理破綻していないか確認する。
5見識に
基づく主張
あえて知識やセオリーを説明する。「例 ICT投資においては、その効果の評価項目を事前に策定することが重要であるため、私はその事前に作成し、関係者と評価項目について合意することにした」
6洞察力
行動力
「考えた」「検討した」ばかりではなく、アクションをとってPDCAをとったことを説明する。
洞察力として、答えありきではなく、「他の選択肢も評価した」と書いて視野の広さを示す。
7独創性
先見性
独創性や先見性がなくても私は合格できたので、ここでは評価しない。
余程古い話をしなければ問題ないと思われる。
8表現力
文章作成力
ビジネス文書レベルの話。結論先出し、そこに至った理由、根拠を書く
午後2の確認ポイント(試験要綱に定義された観点に、記述すべき内容を追記)

スキル1「過去問力」

 合格のコツになる1つ目のスキルは『過去問力』です。過去問力とは「いかに効率よく、数多く過去問題を解けるか」と言い換えることができます。

 一般的な試験や大学入試などにおいても過去問は試験対策の常套手段です。でも高度試験(情報処理技術者試験)においては、さらにその重要度が増します。と言うのも、諸説ありますが、情報処理技術者試験における過去問の再利用率は70%程度とも言われているんです。
 感覚値としては、「まったく同じ問題」が70%ということはありませんが、「数字が少し違うだけ」「問い方が変わり答えが変わるが選択肢のバリエーションは同じ」というケースを含めると、過去5〜10年分くらいからの流用率が70%というのはあながち間違いではなさそうです。

 では、具体的にどのように過去問に取り組むとよいのかについて説明します。結論を先に言うと、次の①〜③を繰り返すだけです!しかも通勤時間やスキマ時間で済みます

① 過去問を解く
② 不正解、または偶然正解できた問題を「苦手分野」としてマーク
③ 苦手分野の重要度を確認して、分野を絞って過去問を解く

 順に説明していきます。

① 過去問を解く

 スマホで『応用情報技術者試験ドットコム』の過去問道場を利用しましょう。このWEBサイト、高度試験の合格を目指す人にとっては神サイトなんです!「応用情報技術者過去問道場」は平成15年春期からの過去問からランダムに出題してくれて、解説まであるんです。

https://www.ap-siken.com/

 スマホのホーム画面に追加して、ちょっとしたスキマ時間でついついスマホを触ってしまうときに目につくようにしておいてじゃんじゃん自分を追い込んでいきましょう!

② 不正解、または偶然正解できた問題を「苦手分野」としてマーク

 間違った問題はスクショしておきましょう。また、「正解したけど、残り2つの選択肢で迷った」という問題もスクショしておきましょう。マークシート形式なので偶然正解できた問題も苦手な分野として、後で集中的に学べるようにしておきましょう。

③ 苦手分野の重要度を確認して、分野を絞って過去問を解く

 苦手な分野があったとしても、あなたが受験する試験区分においてその分野が重視されていないなら、心配はいりません。午前1レベルの理解度で十分でしょうか。一方、重視されている分野であれば、しっかりと理解度を高めておく必要があります。では、さっそく試験区分毎にどの分野が重視されるのか、表で確認しましょう。

IPA 情報処理推進機構 情報処理技術者試験 試験要綱

 『苦手分野、かつ、受験する試験区分で重視される分野(=表中 ◎4)』がある場合は、その分野に絞って過去問を問いていきましょう!分野を絞った過去問は、『応用情報技術者試験ドットコム』の「分野別過去問題」を使います。

スキル2「国語力」

 合格のコツになる2つ目のスキルは『国語力』です。これは、「問題文を正確に理解し、問われていることに本文の内容から正確に解答する力」と言えます。

 当たり前の話ですが、「問題文を正確に理解する」「問われていることを理解する」「問われていることに本文の内容から答える」ことが求められます。つまり、午前2のレベルの知識があれば、あとは「国語の読解問題」なのです。しかも文学的な表現などなければ、社会の一般常識に照らしたような文章でもありません。中学生・高校生レベルの国語の読解問題なんです。

 というわけで、実際に中学生向けの国語の対策動画を観てみましょう。

 この動画でも紹介されているとおり、教科書(過去問の本文)を読んで、ワーク(つまり実際に解く)に取り組んでいくのが読解問題の勉強法なんです。教科書を読むときには「誰が?どんな出来事?何が起こった?」を理解しながら進めます。高度試験の午後1においては以下のような事項がポイントになります。これはITストラテジストなのか、プロジェクトマネージャなのか、試験区分によって若干異なりますので、その試験区分毎で求められる役割に沿って自分自身でも考えてください。

・計画の5W1H
・関係者(体制)
・課題や問題点
・コンプライアンス
・前提条件(なお〜、ここでは〜とする、といった表現)
・唐突な説明(例 プログラムの使用権のみ購入しており著作権はない)

※ 特に「なお〜」「ここでは〜とする」「唐突な説明」には注意が必要です。記述形式の試験であるため、出題側としても正答を1つにする必要があり、本文に前提をつけることで2つ、3つある正答を1つに絞っているのです。つまり、「なお〜」「ここでは〜とする」という部分や唐突な説明部分は答えに直結する可能性が高いと言えます。

 動画に出てくる「日を重ねて繰り返す」という点は高度試験にも言えることです。過去問を何年分もやっていきましょう。その中で徐々に「文章から読み取って大事なことを抜き出す力」が養われるのです。高度試験においても、本文から問われている部分を抽出する力が問われています。

 解答するときも、問われていることに答えるために、以下のような様式になります。

・XXXの目的を述べよ →XXXすること
・XXXの理由を述べよ →XXXのため
・XXXした効果を述べよ →XXXできること
・XXXのリスクを述べよ →XXXする可能性がある

 ちなみに、本番では以下のような流れで問題に取り組むことをおすすめします。

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No作業詳細
1問題を選択する問1〜4の内容をななめ読みして、問題を選択する。
2問われている内容を確認する設問の内容を確認し、ポイントには下線やマークをつけておく。
問われる内容を把握したうえで本文を読むため。
3本文を分割本文を5-10行程度のブロックに分割する。
4ブロック毎に本文を読む本文を読み進める。ポイントには下線やマークをつけておく。
5解答の原型を作る文字数の制限は気にせず、解答すべき内容の原型を作る。ここでは記述すべきキーワードをあげる。
6文字数を合わせて解答を記入する解答の文字数制限に合わせて原型を削る。絶対に入れなければいけないキーワードを優先する。
7全体を見直すすべての設問に解答し終わったら、さらっと問題文を読み返して、解答に矛盾がないか、前提条件などで見落としがないか確認する。

スキル3「妄想力」(妄想を形にする力)

 合格のコツになる3つ目のリスクは『妄想力』です。ビジネスや教育の現場においては、あまり使うことのない力ですが、高度試験の午後2においては非常に重要な力です。正確には「妄想を形にする力」です。

 なぜ、午後2では「妄想力」が必要になるのでしょうか。その理由は「午後2の問題文が必ずしも自分の経験だけでは解答できないから」なんです。実際の問題を見ながらもう少し具体的に説明します。例えば、2018年春期プロジェクトマネージャ試験の午後2の問題を見てみましょう。

問1 システム開発プロジェクトにおける非機能要件に関する関係部門との連携について

設問ア あなたが携わったシステム開発プロジェクトの特徴、代表的な非機能要件の概要、並びにその非機能要件に関して関係部門との連携を図る際に注意を払う必要があった点及びその理由について、800文字で述べよ。

設問イ 設問アで述べた代表的な非機能要件に関し、関係部門と十分な連携を図るために検討して実施した取組みについて、(中略)800文字以上1,600文字以内で具体的に述べよ。

設問ウ (省略)

 「えっ!?そんな重要な非機能要件なんてありませんでしたけど?」という方も多いのではないでしょうか?関係部門が関心を持つのは機能要件が9割で、非機能要件はシステム部門やシステム導入ベンダーの仕事ってケースはよくある話です。なのに、「関係部門と十分な連携を図る」なんて…と試験本番で途方に暮れることになります。いちるの望みをかけて問2へとページを進めると…

問2 システム開発プロジェクトにおける本稼働間近で発見された問題への対応について

 「トラブルありきかよ!」「そりゃトラブルはあったけど、話をふくらませるような内容でもなかったよ!」と感じることでしょう。

 「あなたが経験した範囲が運良く午後2で出題されるとは限らない」状況は「妄想を形にする力」を鍛えることで、解決することができます。ちなみに「どんな問題が出題されても過去の経験で論述できるぜ!」という人は、もはや高度試験を受ける必要のないレベルの手練れでしょう(笑)

 私のような平凡なエンジニアは自分の経験だけに頼って、本番にガチャをひくようなことはできません。なので、事前に妄想を形にしておきました。具体的には、午後1の過去問や午後2の論文事例をたくさん読み込んで、いくつか仮想のプロジェクトを用意しました。また、そのプロジェクトで発生しうる問題点(特に品質、コスト、進捗、仕様変更あたりの問題点)を想定して、どのような対応をとるのかを考える妄想をしておくのです。

 午後2の論文事例は1冊対策本を買って、読むことをおすすめします。この手の事例本は分厚いことが多いので、私はいつも論文単位に裁断してしまい、移動時間に読むことにしています。試験合格後に古本で売るつもりがなければ、おすすめです。

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さいごに

 いかがだったでしょうか?高度試験(情報処理技術者試験)は午後2に論述試験があることで苦手意識を持っている人も少なくありません。でも、合格のコツである3つのスキル「過去問力」「国語力」「妄想力」を鍛えることで、運任せではなく、確実に合格できる試験です。ぜひトライしてください。

 高度試験に関するよくある質問をまとめた記事もあります。ぜひ参考にしてください。

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