ITエンジニアのキャリアパスは多様です。そのため、定期的にキャリアを棚卸しして、目指す姿とのギャップから逆算して今やるべきことを決めることが重要です。この記事では現役の社内SE(中途採用の書類選考・面接担当)の視点で、ITエンジニアのキャリア棚卸しの目的、メリット・活用術、棚卸しの方法について解説します。
- 文系大卒業後、国内大手SIerに就職。
- MBAでマネジメントやHR領域を学ぶ
- 35歳をすぎてITエンジニアとして大学職員に転職(競争倍率 約200倍)
- 情報システム部門で管理職&プロジェクトマネージャ
- ITエンジニア職の中途採用を100名以上担当(書類選考、面接)
でも毎日忙しいし、めんどくさいなぁ…
会社の都合に任せた脈略のないキャリアパスをたどって、転職面接で「一貫性がありませんが、あなたは弊社でなにがしたいんですか?」と言われてしまいますよ?
- キャリアの棚卸しの重要性がイマイチわからない
- キャリアの棚卸しの方法がわからない
- 転職活動で志望企業から「求める人材とマッチしない」と言われた
キャリアの棚卸しの目的
キャリアの棚卸しとは?
『棚卸し』とは、一般的には企業の資産評価をするため、在庫の残数確認や備品の状況確認をする行為を指します。
一方、『キャリアの棚卸し』とは、これまでの経歴や経験・スキルを整理することで「あなたの人材としての価値」を評価することを指します。
キャリアの棚卸しの目的
なぜ、ITエンジニアにはキャリアの棚卸しが必要なのでしょうか?キャリアを棚卸しする目的について説明します。
- 自分が目指す姿(キャリアパス)に対して、スキル・経験が積み上がっているか確認する。
- 自分の強み・弱みを把握する。
- 転職時に、自分のキャリアや強みに合致する企業を選べるようにする。
キャリアの棚卸しの最大の目的は「自分が望むキャリアパスに対して、これから何をすべきか明確にすること」です。希望するキャリアパスに向かってスキル・経験が積み上がっているか?自分の強みはそのキャリアパスに合致するか?を確認することになります。これにより、転職する場合は、自分のキャリアや強みに合致する企業を選べるようになります。
キャリアの棚卸しのメリット
メリット① キャリアに沿ったスキルアップが狙える
キャリアの棚卸しをすることで、あなたが望むキャリアパスに必要なスキル・経験の不足部分が明確になります。
会社の指示に従ってプロジェクトにアサインされているだけでは望むキャリアパスに近づけません。理想と現実のギャップを明確にして、ギャップが埋まる日から逆算してスキル・経験を計画的に積み上げる必要があります。
そのためにも、「現実を把握する=これまでのキャリアの棚卸し」が必要と言えます。
メリット② 転職時の志望企業選びの軸にできる
キャリアの棚卸しをつうじて、自分の強みが明確になれば、転職するときにはその強みに沿って志望企業を選ぶことができます。
中途採用の選考を担当する立場で申し上げると、「この人の強みが活かせる場面はうちにはないなぁ」と感じてしまう場面があります。もしもその方がわたしたちを第一志望先と考えていたなら、それは自分の強みがわかっていないと言えます。
あなたがキャリアの棚卸しで強みを把握できれば、転職の志望企業のミスマッチを防ぐことができます。
メリット③ 転職時の職務経歴書・自己PRに活用できる
キャリアの棚卸しをつうじて、あなたが自分の強み・スキル・経験を整理しておけば、転職時の書類選考や採用面接においてもそれらを活用できます。
職務経歴書や自己PRは機械的にあなたの強みを整理するだけでは不十分です。志望企業が中途採用者に望むスキル・経験のうち、あなたが持っているものを示す必要があります。事前にキャリアの棚卸しをしておくことで、アピールすべきスキル・経験を明確にできるのです。
キャリアの棚卸し方法
ここからキャリアの棚卸しの方法について解説していきます。
ポイントは一気に深堀りせず、徐々に深堀りすることです!
例えば、所属会社>部署>プロジェクト>自分の役割
という順に進めましょう。
キャリアの棚卸しの流れ
所属した会社や部署など下記の項目をスプレッドシートかマインドマップに書き出しましょう。
- 所属企業名
- その企業の事業内容(どのようなビジネスをしているか)
- 従業員数
- 売上高、営業利益
- 所属部署名
- 部署内での役割(部長、課長、主任、担当者等)
つづいて、その部署の中であなたが担当したプロジェクトを書き出しましょう。
- 期間
- 顧客の業種
- プロジェクトのシステム領域(生産、販売、人事、会計など)
- システム構築の目的・ゴール
- プロジェクト規模(金額、人月など)
最後にプロジェクト内でのあなたの役割を書き出しましょう。
- 担当した工程(企画、要件定義、設計、実装、テスト、保守など)
- 役割(マネージャ、リーダー、PMO、担当者等)
- マネジメントした人数
- 技術要素(OS、データベース、開発言語、開発環境、製品名など)
- 獲得したスキル
- 得られた経験値
社外やプロジェクト外の活動も含めましょう。
- 主催した勉強会
- イベントへの登壇
- プライベートで開発したWebサービス
- キャリアに関わる資格の取得
プライベートの時間を削って取り組んだということはあなたのキャリアの方向性がこれらに隠されているのかもしれません。また、将来転職する場合に、これが良いアピールになるかもしれません。
書き出しはここまでです。
どうでしょう?ここまでのキャリアをつうじて、あなた自身の強み・弱みが見えてくるはずです。弱みがあっても焦る必要はもちろんありません。「これから目指したい姿」にそのスキルは不要なら気にすることはないのです。
書き出した「これまでのキャリア」と「これから目指したい姿」とのギャップを探り、そのギャップこそが今後強化すべき部分になります。
わたしのケースで恐縮ですが、例えば社内SEに求められるスキルについてまとめた過去の記事を貼っておきます。参考になりそうな人はぜひご覧ください。
自分の目指したい姿がまだわからないなぁ…
キャリア・アンカーというツール(無料)を使ってみましょう
どのようなキャリアを望んでいるのか、見つめ直せるチャンスです
まとめ
いかがだったでしょうか。この記事では自分のキャリアを棚卸しすることの目的、メリット、棚卸しの方法について解説しました。
キャリアの棚卸しの最大の目的は「自分が望むキャリアパスに対して、これから何をすべきか明確にすること」です。これができることで、①キャリアに沿ったスキルアップ、②転職時の企業選びの軸になる、③転職の職務経歴書・自己PRに活用できるといったメリットがあります。
キャリアの棚卸し方法のポイントは①徐々に深堀りする、②目指す姿と現状とのギャップを明確にする、という点です。
最後に1点宣伝をさせてください。わたし自身が大学に身を置く社内SEの立場ですので、世の中に社内SEが増えてくれること、さらに大学業界に社内SEが増えてくれることを望んでいます。以下に過去の記事を貼りますので、ご興味あればぜひご覧ください。
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