キャリア・アンカーとは?キャリアに迷ったらタイプを自己診断してみよう!

 この記事では自分のキャリアについて考えたり、迷ったりした人に向けて、エドガー・シャイン氏が提唱する『キャリア・アンカー』を紹介します。

この記事をおすすめしたい方
  • 今後のキャリアに悩んでいる方
  • 転職を考えている方
  • 自分に合った仕事が見つからない方

 先に私がどのようなキャリアであるかをご紹介します。私はMBA卒業後、国内SIerでソフトウェアエンジニアやプロジェクトマネージャとして働き、大学職員に転職してITエンジニア部門やキャリア育成部門で仕事をしてきました。転職は自分のキャリアや人生で実現したいことと向き合って決断をしましたが、そのときに活用したのがキャリア・アンカーでした。

 では、キャリア・アンカーとはどのようなもので、どのように活用できるか、そしてどのように診断するのかについて、順を追って説明します。

ブログ管理者のプロフィール
  • 文系大卒業後、国内大手SIerに就職
  • プロジェクトマネージャ&ソフトウェアエンジニア
  • その後、MBAでマネジメントやHR領域を学ぶ
  • 35歳をすぎてから大学の情報システム部門へ転職(競争倍率 約200倍)
  • 情報システム部門の中途採用者の書類選考、面接を担当
目次

キャリア・アンカーとは?

そもそも『キャリア』とは?

 「キャリア」という言葉はよく耳にしますが、その定義はあいまいです。この記事ではキャリアやキャリア・アンカーについては、エドガー・シャイン氏の『キャリア・アンカー 自分のほんとうの価値を発見しよう』から引用しながら説明を進めます。

内面的なキャリア:仕事生活が時とともにどのように発達してきたのか、また本人がそれをどの程度自覚しているのか。
外見上のキャリア:あるひとが、ある職種につき、承認していく過程で、その職種または組織から要請される具体的な段階を指す。

エドガー・シャイン著『キャリア・アンカー 自分のほんとうの価値を発見しよう』p.11

キャリア・アンカーとは?

 『キャリア・アンカー 自分のほんとうの価値を発見しよう』では、キャリア・アンカーを次のとおり定義しています。

あなたのキャリア・アンカーとは、あなたがどうしても犠牲にしたくない、またはあなたのほんとうの自己を象徴する、コンピタンスや動機、価値観について、自分が認識していることが複合的に組み合わさったものです。

エドガー・シャイン著『キャリア・アンカー 自分のほんとうの価値を発見しよう』p.1

 少しわかりづらいところがありますが、外部からの刺激でブレることのない信念や価値観と言い換えることもできます。エドガー・シャイン氏の研究によると、ほとんどの人のキャリア・アンカーは8種類のカテゴリーの中のどれかに当てはまると考えています。

キャリア・アンカー診断は何に役立つのか?

 キャリア・アンカー診断は検査ではないですし、隠れた才能を見つけ出すためのツールでもないとエドガー・シャイン氏は述べています。キャリア・アンカー診断は自分自身の傾向を明確に把握するツールです。

 傾向を把握できれば、それは組織内での働き方、どのような分野に自分の時間を使うのか、どのような仕事を選択していくのか、ひいてはどのように生きていくのかを決めるときに役立ちます。そのため、企業における人材育成やキャリア形成の研修でも積極的に活用されているのです。

キャリア・アンカーは何に役立つか?
  • どのような働き方、どのような時間の使い方をするかを考え直す際、自分の基本的な考えが整理できる
  • 現在の職務がどれだけあなたの欲求や指向を満たしているのか分析できる
  • 転職や起業を考える際、自分の考えを客観的に見つめ直せる

キャリア・アンカーの8つのタイプ

8つのタイプを紹介

 キャリア・アンカーは次の8つのカテゴリーに分類されます。

  1. 専門・機能別コンピタンス(Technical/Functional Competence)
  2. 全般管理コンピタンス(General Managerial Competence)
  3. 自律・独立(Autonomy/Independence)
  4. 保障・安定(Security/Stability)
  5. 起業家的創造性(Entrepreneurail Creativity)
  6. 奉仕・社会貢献(Service/Dedication to a Cause)
  7. 純粋な挑戦(Pure Challenge)
  8. 生活様式(ワークライフバランス)(Lifestyle)
キャリア・アンカーは8つのタイプに分類される

① 専門・機能別コンピタンス

 「専門・機能別コンピタンス」に分類される人は、特定分野で専門家としての能力発揮を望むタイプです。特定分野における自分の能力や専門性を高めることを重視しています。「管理職より現場で活躍したい」というタイプの方はこのタイプに多いと考えられます。

 「これと決めたら極める」というタイプで専門家として現場での仕事を継続したいと考えているため、人事異動で他の分野に移されると、専門性を活かすことができないため満足度が低下します。

② 全般管理コンピタンス

 「全般管理コンピタンス」に分類される人は、経営経営や管理職に関心が強く、組織の中で責任ある地位に就くことでリーダーシップを発揮したいという欲求が強いタイプです。専門・機能別コンピタンスとは違い、特定の分野で専門的な仕事をするのではなく、何種類かの分野に精通する必要があると考えています。

 このタイプには「分析的コンピタンス」「対人関係およびグループ間をつなぐコンピタンス」「情緒的コンピタンス(対人的な問題に直面しても意思決定できる能力)」が求められます。

③ 自律・独立

 「自律・独立」に分類される人は、どんな仕事であっても自分のやり方や自分のペース、自分が納得できる仕事を重視するタイプです。そのため条件に合致する仕事を好み、制約の多い会社組織より自分に一定の裁量が認められる組織でのキャリア、あるいは独立したキャリアを好みます。

④ 保障・安定

 「保障・安全」に分類される人は、危機やリスクから距離を置き、将来の出来事を予測できる長期的・安定的な仕事をすることを重視します。誰でも最低限の安全保障を求めますし、また誰でも一時的には金銭的な保障が最優先になる時期があります。一方、「保障・安定」タイプの人は一時的ではなく、キャリア全体を通じて安定や安全を軸として大きな判断を行います。

⑤ 起業家的創造性

 「起業家的創造性」に分類される人は、新しい製品や新しいサービス、新しい組織を創造したり、新しい事業を始めることに興味を持っています。特に人生の早い時期からこの志向を示すと言われています。「できるかもしれない」ということを実際に試したいと考えるタイプです。

 さきほど紹介した「③自律・独立」と混同するケースがありますが、明確に異なります。このアンカーを持つ人は自律の欲求があった結果として自分の事業を持つのではなく、自分が新しい事業を起こすことができることをとにかく試したいと強く思うと言われています。

⑥ 奉仕・社会貢献

 「奉仕・社会貢献」に分類される人は、自分が大切にする価値観を仕事の中で実現したいという考えで職業に就きます。自分が才能や能力を有する分野よりも、価値観によって仕事を選択するというタイプです。このタイプは「何らかの形で世の中をもっと良くしたい」と考えて職業や仕事を選択します。

 医師や看護師、教師や警察官といった社会貢献度の高い職業に多いと言われますが、民間企業においても社会を良くするという大義で働く人はこのタイプに分類されます。逆に、医師や教師といった職業であっても「①専門・機能別コンピタンス」や「④保障・安定」のアンカーを持つタイプもいます。

⑦ 純粋な挑戦

 一見、不可能と思われるような障壁に立ち向かい、克服することに価値を見出すタイプは「⑦純粋な挑戦」に分類されます。このようなタイプの人の「① 専門・機能別コンピタンス」との違いは、専門分野に限定せず、解決すべき問題があれば専門であろうがなかろうが挑戦したいと考える点にあります。

 例えば、アメリカのマイケル・ジョーダン氏はもっとも有名なバスケットボール選手で輝かしいキャリアを歩んでいましたが、バスケットボール選手としてのキャリアを引退し、ベースボールに転向しました。類稀なバスケットボールのスキルを持ちながら、まったく異なる球技に挑戦する姿はこのアンカーを持っていたのではないか思わせる例と言えるでしょう。

⑧ 生活様式(ワークライフバランス)

 「ワークライフバランス」に分類される人は、自分のキャリア自体が生活と調和させるものであるべきだと考えます。個人のニーズ、家族のニーズ、キャリアのニーズをうまく統合させたいと考えるタイプです。「③ 自律・独立」との違いは、組織のために働くことに前向きであるという点です。自分の時間や都合に合わせた働き方ができるのであれば、その組織のために働くことを選択します。

8つのタイプ補足① アンカーに優劣はあるか?

キャリア・アンカーに優劣はありません

 では8つのアンカーに優劣はあるのでしょうか?キャリア・アンカーは自分を知るためのツールであるため、たとえば起業家的創造性が良くて、保障・安定が悪いといったことはないとエドガー・シャインは説明しています。

8つのタイプ補足② アンカーを2つ持つことはあるか?

キャリア・アンカーとは、どれが自分のアンカーなのかについて、無理にでも選択を迫られた場合、どうしてもあきらめたり捨て去ったりができないひとつの拠り所である

エドガー・シャイン著『キャリア・アンカー 自分のほんとうの価値を発見しよう』p.50

 つまり、エドガー・シャインのキャリア・アンカーでは、人は必ずひとつのアンカーを持ち、2つ持つことはないと定義していると言えます。複数の要素を持っている場合であってもそれらには上位・下位があり、どれが最上位にあるのかを見極めるのは大変です。

 例えば今後のキャリアを想定して遭遇するであろう場面を想定することで見極めることになります。また、どうしても見極めることができない場合、それはあなたが優先順位をつけるのに十分な人生経験をしていない可能性があるとエドガー・シャインは指摘しています。

あなたのキャリア・アンカーを診断してみよう!

キャリア・アンカー診断の流れ

STEP
キャリア指向質問票に回答する

キャリア・アンカー診断では40問の質問が用意されています。40問の質問に対して、「全く違う 1点」「やや違う 2点」「どちらかといえば違う 3点」「どちらかといえばその思う 4点」「ほとんどそう思う 5点」「全くそう思う 6点」といった選択肢から最も当てはまるものを選びます。

 質問票は『キャリア・アンカー 自分のほんとうの価値を発見しよう』にもありますが、世の中には診断用のWebサイトがありますので、リンク『キャリア・アンカー診断』をご紹介しておきます。

STEP
質問票を集計して上位3つのタイプを候補にする

40の質問は、8つのタイプ×5つの質問で構成されていて、もっとも点数が高いタイプがあなたのタイプの候補となります。点数が高い順に並べて、上位3つのタイプを明らかにしましょう

STEP
パートナーによるインタビューを受ける

キャリア・アンカーに関するWebの情報はSTEP1,2の質問票だけに偏っています。でも本来キャリア・アンカーを見つけるには、もうひとつの作業があります。それはあなたがリラックスして話せる相手で、あなたに協力してくれるパートナーを見つけて、インタビューをしてもらうことです。質問事項は18項目あり、自由回答です。

  1. あなたが受けた教育について、何を専攻しましたか?なぜそれを選択したのですか?現在、その選択をどのように思っていますか?
  2. 最初に就いた仕事は何でしたか?なぜ最初の仕事にそれを選んだんですか?
  3. キャリアを歩み始めたとき、どのような大きな望みあるいは長期的な目標を持っていましたか?
  4. これまでのキャリアと人生を振り返ってみて、なにか大きな節目となった変化はありましたか?

インタビュー項目は教育や仕事に関すること、キャリアや人生における節目に関すること、自分の関心事、昇進や長期的な目標といった内容で、合計18項目あります。詳細はぜひ『キャリア・アンカー 自分のほんとうの価値を発見しよう』を参照してください。

STEP
集計票とインタビューの結果からキャリア・アンカーを決定する

インタビューに協力してくれたパートナーとともに、質問票の集計結果とインタビュー結果について話し合い、あなたにもっともマッチしたキャリア・アンカーを特定しましょう。

キャリア・アンカーをさらに役立てたい方へ

 『キャリア・アンカー 自分のほんとうの価値を発見しよう』には、STEP1の質問票、STEP3のインタビュー項目がすべて載っているだけでなく、あなたがキャリア・アンカーを自分の選択にどのように活かすべきかが解説されています

 また、自分以外の人のキャリア・アンカーがわかれば、相手がどのように考え、どのように承認してもらうことを望んでいるのかも説明されていますので、部下をマネジメントするマネージャクラスには非常に役立つ内容です。ぜひ手にとって見ることをおすすめします。

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