ゼロからはじめる1on1ミーティング部下育成!進め方からテーマの決め方、便利なツールまでご紹介!

 管理職の一番の悩みは『部下育成』です。内閣官房内閣人事局の調査(平成28年実施)によると、「管理職がマネジメント行動を執れていない」という質問で「部下のキャリア形成や人材育成い対する支援」は管理職も一般職も双方が一番に挙げています

内閣官房内閣人事局『管理職のマネジメント能力に関するアンケート調査 結果概要(最終報告)』
http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/kanri_kondankai/dai4/siryou2.pdf

部下のキャリア形成や人材育成に対する支援「上司も部下も管理職のアクションが不十分」と評価している…悲しい…。

 この『人材育成』に『1on1ミーティング』という方法を採用する企業が増えています。

1on1ミーティング導入事例
・ヤフー株式会社
・ソフトバンク・テクノロジー株式会社
・株式会社スペースマーケット
・クックパッド株式会社
・グリー株式会社
 …など事例多数

 1on1ミーティングとは、上司と部下が短いサイクルで定期的に実施する1対1の対話です。対話を通じて、部下が能動的に課題を見つけ、自ら解決方法を考えるとしたら、管理職としては喉から手が出るほど望ましい状況ですよね。この記事では、1on1ミーティングとはどのような手法なのか、またその進め方やその進行を支援するツールについてご紹介します。

目次

1on1ミーティングとは

1on1ミーティングの目的

 1on1ミーティングとは、上司と部下が短いサイクルで定期的に実施する1対1の対話です。これまで日本の会社では上司との面談と言えば、ほとんどの場合は目標面談を指しました。半年・1年に一度「目標設定面談」と「自己評価面談」がありました。でもこれは上司が部下に目標を指示して、その範囲で実績を確認する場でした

 1on1ミーティングの目的は、部下の成長を促すことです。「上司のための面談」ではなく「部下のための面談」なのです。部下が問題意識を話し、テーマを自分で決めて、上司は話を聞いて・共感することに徹します。

1on1ミーティングの効果

 その結果、部下は「仕事の経験を振り返り、学びに変換し、学びを再び仕事で試して、うまくいくかチェックする」というサイクルを回すことになります。(正確には、上司が1on1を通じて、部下のこのサイクルを支援します。ゆえに上司のための面談ではなく、部下のための面談なのです)

 これは組織行動学の分野では、「経験学習」と呼ばれるもので、デイヴィッド・コルブが提唱する考え方です。コルブによると、人が学習する比率は「経験:アドバイス:研修=7:2:1」であり、経験からもっとも多くを学びます。これは改めて説明されなくても、誰もが感覚的に感じていることではないでしょうか?

 そのうえで、経験学習のサイクルは「経験 → 省察(内省) → 概念化 → 実践」という4段階で構成されており、サイクルを繰り返すことによって、人は学習すると提唱しています。1on1ミーティングでは「省察(内省)」と「概念化」「実践」を中心に上司がサポートします。

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1on1ミーティングの進め方

進め方の概要

 1on1ミーティングは次のような流れで実施します。

1on1ミーティングのおおまかな流れ
① 事前準備
② 部下が話したいことを聞き出す
③ 部下の内省を促す
④ 次回までのアクションプランを確認
⑤ ミーティング内容を記録する

① 事前準備

 上司は部下に1on1ミーティングの目的を伝えましょう。また、今後の進め方について説明しておきましょう。特に、1on1が人事評価にはまったく影響しないことを伝えておくべきでしょう。人事評価に影響があっては部下は悩みを共有してくれませんし、指示する・指示さえるの関係になってしまいます。

 また、目的を伝えたところで、「忙しい」「めんどくさい」といった反応を示す部下もいます。特に年上の部下にこの傾向があるのはよくあるケースです。その場合、その部下との関係性にもよりますが、1on1ミーティングをスタートする時点では「部下の成長」にフォーカスする必要はありません。その時点で年上の部下にとっては「鼻につく」話になり、前向きな場にはなりません。例えば、チーム改善に関する1on1ミーティングといった位置づけでスタートする方が良いでしょう。

② 部下が話したいことを聞き出す

 テーマは部下自身が決めるのが望ましい状態ですが、当初は上司側から最近の仕事の中での出来事や、これまで部下が抱えてきた課題に関わる内容からテーマを設定するとよいでしょう。

 そのうえで、上司は部下に「十分に話してもらう」ことに全力を注ぎましょう。思い出してください。経験学習において、「経験を振り返る」ためには、まずは経験を共有してもらう必要があります。

部下に話してもらうためのポイント
・部下が話に集中できる環境(会議室など他人に見聞きされない環境)
・上司が話に集中できる環境
・話を聞く姿勢
・適度な相槌や共感
・あいまいな部分は「どういうこと?」「もう少し詳しく」と聞き出す
・アイスブレイク、上司側から自己開示する

部下に話してもらうためのNG行動!
・相手の話を遮る
・仕事しながらは聞く
・「なぜ」「それじゃダメ」と否定してしまう
・部下の意見を正しい・誤りという尺度で評価してしまう

③ 部下の内省を促す

 優秀な上司であれば、部下が抱える悩みに対して、先回りしてすぐに答えを出せます。アドバイスなんてかんたんなことです。なぜなら、あなたも同じような経験をしていて、最適解を知っているのですから。でも話を遮ってアドバイスをするのはグッッッとこらえてください。ここでアドバイスをすれば部下はその課題を解決できるでしょう。でもその繰り返しこそが「指示待ち人間」を作り出してしまうんです。

 上司からフィードバックがある場合は、部下が大いに話して、内省できてからにしましょう。

部下の内省を促すためのポイント
・具体的な仕事(例 今日のプレゼン結果)の自己評価と理由を聞く(上司との認識差や評価の尺度差が重要)
・なぜ失敗したかではなく、どうすればよかったと思うか質問する
・これからどうしたいか聞く
・沈黙を恐れない
・上司は解決策がわかっていても、部下本人が見つけ出したように思わせる

④ 次回までのアクションプランを確認

 1on1ミーティングを通じて、経験学習のサイクルは「経験 → 省察(内省) → 概念化 → 実践」の中の「実践」に必ずつなげましょう。つまり、次の1on1ミーティングまでに実践の計画に落とし込みましょう。計画というと仰々しいのですが、今日の学びをどこで試してみるか、という話です。1on1ミーティングはトライ&エラーを短いサイクルで回すことに意味があります。そのため、「実現可能か」「すぐに実行できるか」「結果はわかりやすいか」といった点は上司からもフィードバックすることでサポートするとよいでしょう。

 そして、次回の1on1ミーティングの冒頭では、その結果の確認するようにしましょう。言いっぱなし任せっぱなしにすると部下は1on1ミーティングへの興味を明らかに失います。「話して、実行しても、上司は観ていない」と感じてしまうからです。

⑤ ミーティング内容を記録する

 1on1ミーティングの内容や気付きは部下に記録するように伝えましょう。この記録が次回までのアクションプランの進捗状況を共有する場にもなります。1on1ミーティングの過去の記録が新たな気付きを与えることになります。また、記録は上司と共有できるツールだとなお良いでしょう。上司がコメントやフィードバックをすぐにすることで、部下は「観てくれている」という安心感を抱きます。

 1on1ミーティングの記録に特化したツールはいくつかあります。いずれも便利そうな機能(リマインダー、記録、コメント機能)が付いていますが、どれも有料です。

 私は Trello を無料版で使うのでも十分だと思います。Trello とはタスク管理ツールで、1つのタスクを「カード」という概念で管理し、カードにはメンバー同士(1on1においては上司と部下)でコメントしたり、ファイル添付したり、期日設定が可能で、1on1ミーティングの記録&コミュニケーションに必要な要素が Trello にはすべて揃っています

まとめ

 いかがだったでしょうか?今回は部下の成長をサポートする1on1ミーティングについて、その目的や進め方、使えるツールについて解説しました。

 1on1ミーティングは部下のための面談・部下のための時間であり、上司は部下の成長のために部下の経験学習をサポートする役割に回ります。経験学習とは「経験 → 省察(内省) → 概念化 → 実践」のサイクルを回すことであり、1on1では、省察から実践までを特にサポートします。

 このあたりについて、ゼロからスタートする方向けの具体的な内容が書かれている本をおすすめします。1on1ミーティングを実際にヤフー株式会社に導入された本間 浩輔氏の『ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法』です。

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