どのような職種でも中途採用の面接官の頭の中には「この人はうちでも活躍してくれるだろうか」という疑問があります。そして、あなたはこの疑問にズバリと回答することが期待されます。
つまり、あなたは前職や現職で活躍したことを「志望企業でも再現できる」と証明する必要があります。ではどのようにすれば、この「再現性」を証明できるんでしょうか?この記事では面接官の頭の中を見ながら、それに沿って説明の仕方を解説します。
説明の前に、私がどのような経歴であるのかについて簡単に触れておきます。私はIT業界に約20年間従事しており、SIerで10年以上経験を積んでから35歳をすぎて競争倍率200倍の社内SEに転職しました。
- 文系大卒業後、国内大手SIerに就職
- プロジェクトマネージャ&ソフトウェアエンジニア
- その後、MBAでマネジメントやHR領域を学ぶ
- 35歳をすぎてから大学の情報システム部門へ転職(競争倍率 約200倍)
- 情報システム部門の中途採用者の書類選考、面接を担当
社内SEへの転職は『戦略』がもっとも重要です。なぜなら、倍率が高く、かつ会社毎に求める人材像が異なるからです。
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中途採用の面接官の関心事
中途採用の面接官の関心事は次の3点です。
2. そのスキルでどんな成果を残したんだ?
3. それはこの人の実力か?会社の看板や仕組みのおかげでは?
もちろん、あなたの志望理由や希望する待遇などにも関心はあります。でもそれは「あなたのスキルが基準を満たす」とわかってからの話です。まずは上記の3点に答える必要があります。
では、この3つの疑問に答えるための準備の前に、もう少しこの3点の疑問について、深堀りしましょう。
面接官の疑問① 求めるスキルを持っているか?
求人に応募してきたあなたに向けられる最初に疑問は「基準を満たすスキルを持っているのか?」という点です。求人には必ず必須条件があります。スキルや経歴・経験の基準を満たしているかを確認されます。「学歴が優秀そうだから」で採用されるのは概ね30歳くらいまでの第二新卒やポテンシャル採用であることが一般的です。
そのため、志望企業が求めるスキルのうち、自分がマッチしているスキルを明らかにしておく必要がありますね。
面接官の疑問② そのスキルでどんな成果を残したのか?
面接官が次に持つ疑問は「スキルを持っているだけではなく、そのスキルを発揮して成果をあげたのか?」という点です。つまり、中途採用の面接でよく聞く「頭でっかち」を警戒するんです。
そのためには、知識やスキルを持っているだけではなく、それを使って会社に貢献する成果をあげたのかをを明らかにする必要があります。
面接官の疑問③ その成果は実力か?会社の看板や仕組みのおかげでは?
「スキルもある、成果もあげた」とわかると面接官が最後に確認したいのは「それは本人の実力なのか?会社の看板や会社の仕組みが優れているから成果が出やすいのではないか?」という点です。面接官はこの点にもっとも強い関心を持っていると言えるでしょう。
私自身も中途採用の面接官を務めることがありますが、中途採用の面接官が負っている責任は「スキルを持っている人や過去に成果をあげた人を見つけること」ではありません。「うちで成果を出せる人を選ぶ」ということに責任を負っています。
面接を受けるあなたは会社の看板や仕組みに乗ってあげた成果ではなく、あなた自身の工夫であげた成果を説明する必要がありますね。
面接官の疑問に答えるポイントまとめ
ここまでのまとめとして、中途採用の面接官の疑問に答えるポイントを整理しておきましょう。
- 志望企業が求めるスキルのうち、自分のマッチするスキルを明らかにしよう
- そのスキルを使って、会社に貢献するような成果を明らかにしよう
- これまでにあげた成果のうち、会社の仕組みではなく自分の工夫であげた成果を明らかにしよう
「再現性」の証明ステップ
面接官の関心事とあなたに向けられる疑問が整理できました。ここからはあなたが面接官にどのように「再現性」を説明すべきかについて解説します。
再現性を説明するには、まずは志望企業が求めるスキルを把握しましょう。そのうえで、あなたにマッチするスキルをリストアップしておくのです。
もしも、あなたにピッタリとマッチしないスキルが求められる場合、そのスキルを「分解」「抽象化」して、あなたが持っているスキルとの共通点を見つけ出して同じ土俵になるようにしましょう。分解・抽象化の例は以下のとおりです。
残念ながらこの海外勤務経験がない、でも国内で外国人とのプロジェクト経験があるなら…
海外勤務経験=①英語でのコミュニケーション経験+②多国籍チームでの仕事経験 に分解します。
続いて、海外勤務経験と①②の共通点として「英語力」「異文化との協業」を洗い出し、あなたのスキルを説明することで間接的に「海外勤務経験」という土俵に乗ろう。
次に、あなたがそのスキルを使うことでもたらした成果について説明できるようにしましょう。その際、注意が必要なポイントは以下のとおりです。
- 成果は具体的な数字で表現する。
- メディアやWebで紹介されるような事例であれば尚良。
- 成果は個人の成果ではなく、組織にとっての成果であると尚良。
前職や現職であなたがあげた成果のうち、所属する組織や会社の看板や仕組みに乗ってあげた成果だと面接官に感じさせてはいけません。「この人は結果は残したけど、それはうちでは再現できないね」と判断されてしまいます。
では自分の実力であると、伝えるにはどうすればいいでしょうか。私の場合は次のように伝えることをおすすめします。
- それまでとは異なる新しいアプローチで成果をあげた
- 失敗の原因を分析的アプローチで明らかにして、改善することで成果につなげた
- 組織の仕組み自体を変革した
- 複数の異なる環境において継続的に成果をあげた
ここまでの説明で、あなたが持つスキルは成果につながり、かつ、それを志望企業でも発揮できることが面接官に伝わりました。
最後に、そのスキルを志望企業で再現することで、具体的にどのような貢献ができるのかを提案しましょう。指示を待つ人間ではなく、自発的にメリットをもたらす人間であると伝える頃には面接官はあなたの選考合格を確信しているでしょう。
さいごに
この記事では、中途採用の面接では「あなたの組織・会社でも私は同じように成果を出せますよ」という『再現性』を証明すれば大丈夫ですよ!という話をしました。面接官の関心事を明らかにしつつ、それに沿って再現性を説明する方法を解説しました。
最後に、社内SEに関する転職について、宣伝をさせてください。私自身も大学に務めるいわゆる社内SEで、ひとりでも多くの優秀な人材に社内SEになってほしいと考えています。関心のある方は以下の記事を参照して、ぜひ社内SEを目指してください。
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