高度試験(情報処理技術者)に4つ合格した私が高度試験でよくある質問に答えます。

基本情報技術者試験や応用情報技術者試験に合格すると、つぎに目指したいのが「高度試験」ですよね。でも高度試験(情報処理技術者)は幅広い領域に分かれ、基本情報や応用情報とは異なる対策が必要です。

この記事では高度試験(情報処理技術者)の受験を検討されている方からよくいただく質問に回答し、おすすめの試験区分もご紹介します。

ブログ管理者のプロフィール
  • 文系大卒業後、国内大手SIerに就職
  • ITストラテジスト、プロジェクトマネージャ、ITサービスマネージャ、データベーススペシャリストを保有
  • MBAでマネジメントやHR領域を学ぶ
  • 35歳をすぎてから大学の情報システム部門へ転職(競争倍率 約200倍)
  • 情報システム部門の中途採用者の書類選考、面接を担当
目次

おすすめの高度試験(情報処理技術者)

現在、SIerに勤務しています。おすすめの高度試験はありますか?

SIerに勤務されている場合、担当されている業務および今後担当されたい業務にマッチする高度試験を受験されることをおすすめします。

例えば、現在開発案件の担当者レベルであればデータベーススペシャリスト(DB)試験、インフラ担当ならネットワークスペシャリスト(NW)試験です。今後、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャを目指したい方はプロジェクトマネージャ(PM)試験です。保守を担当されている場合はITサービスマネージャ(SM)試験がおすすめです。

「SIerで出世したい!」という方はプロジェクトマネージャ(PM)試験一択です。SIerのビジネスモデルが「大きなプロジェクトを低単価なメンバー(外部委託、ビジネスパートナーメンバー等)で成功させること」だからです。そのためにはプロジェクトマネジメント能力が必須です。

現在、社内SEとして情報システム部門に勤務しています。おすすめの高度試験はありますか?

社内SEは勤務されている情報システム部門のタイプによります。プログラミング開発まで自社で行うタイプもありますし、主に要件定義とプロジェクトマネジメントを行うタイプもあります。タイプ分けについては『35歳以上が書類通過率アップしたいなら、『社内SEのタイプ』を分類しよう!』でご確認ください。

どのようなタイプの情報システム部門であっても、共通しておすすめできるのはITストラテジスト(ST)試験プロジェクトマネージャ(PM)試験です。要件定義とプロジェクトマネジメントは社内SEとして高い年収を実現するために必要なスキルだからです。

高度試験(情報処理技術者)の取得について

高度試験の中で一番就活に活かせる資格はどれですか?

就職を目指す企業グループによって異なるので一概には言えませんが、ここではSIerを目指すケースを想定します。SIerであればプロジェクトマネージャやシステムアーキテクト、データベーススペシャリスト、ネットワークスペシャリストがおすすめです。20歳代に求められるスキルをカバーしているためです。

一方、ITストラテジストやシステム監査は、コンサルティング企業や監査法人でもなければ就活においてはあまり効果は期待できません。就職後、20歳で求められるスキルとのギャップがあるため、就活の時点で保有していることを期待されていないからです。

高度試験の中でも、プロジェクトマネージャやITストラテジスト、システム監査などは実務経験がないと合格は難しいのでしょうか?

試験区分のうち「午後2」については、実務経験があるに越したことはありませんが、実務経験がなくても全く問題はありません。私もITストラテジストについてこれといった実務経験がない状態で合格することができました。

高度試験に合格するメリットって何ですか?

核心をついた質問だと思います。重視すべきは、資格取得ではなく実務や経験です。一方、実務で経験できる内容には偏りがあるのも事実です。資格取得のための学習はまんべんなく、体系的に習得する必要があるため、資格取得には実務の偏りをカバーする効果があります。そのため、実務を経験した後に、資格を取得するのが最も理想的にその分野のエキスパートになる道であり、最大のメリットだと思います。

また、目に見えるメリットとして、東証一部の上場企業においても資格取得を昇格条件にしていたり、報奨金の対象にしているケースが多く見ることができます。

さらに、転職において資格は客観的な評価点になります。経歴書は本人のさじ加減で「盛る」ことができてしまいますが、資格は盛ることができないので当然メリットと言えるでしょう。

高度試験に興味があります。現在、20歳代でシステムエンジニアをしています。希望する部署へ異動したいのですが、高度試験を取ればその役に立ちますか?

高度試験は知識を問う試験ですので、実務経験の証明にはなりませんが、「知識があること」「自己研鑽を継続できる人物であること」はアピールできます。

会社文化や個別の状況にもよりますが、個人的には異動は現在の上司(あるいは2階層上の上司)とのコミュニケーションが最も重要だと考えています。あなたがどのようなキャリアプランを持っていて、そのために異動を通じてどのような経験がしたいのか、それが組織にとってどのようなメリットにつながるのかを嫌がられない範囲で根気強く伝える必要があります。

上司も達成すべき数字を持っています。あなたが優秀であるほど上司はあなたを異動させたくはないでしょう。そこに対して、後任を育てることで現場には迷惑がかからない、むしろプラスな面もあるというプランを示せれば資格取得以上の効果があります。

現在、中規模のシステム会社に勤務していますが、大手SIerへの転職を考えています。高度試験のうち、転職に有利な資格はありますか?

転職を目指される職種によって有利に働く資格は異なります。大手SIerなら、大規模案件で大勢のシステムエンジニアを束ねて案件を推進できる「プロジェクトマネージャ」が重宝されます。サービス提供している部門であれば、「ITサービスマネージャ」もアピールになりそうです。

一番気をつけたいのは、これまでの実務と全く異なる分野の高度試験の取得を目指す場合です。資格の取得自体がゴールであるかのように捉えられると「資格マニアで実務では使えないのでは?」と疑念を持たせてしまいます。なぜこの資格を取りたいのか、なぜこの資格を取ったのかを自分の言葉で話せるのがいいですね。

午前1・午前2試験について

午前1の範囲が広すぎて対策に困っています。

午前1は過去問題を解きまくるのが一番の対策で、「応用情報技術者試験ドットコム」が便利です。過去問からランダムに問題を出してくれます。さらに問題毎にどの分野から出題されているかが表示されますので、間違った問題のスクショを残して、苦手分野を絞って対策することをおすすめします。

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その上で、どれだけ対策しても理解できない分野があれば、あきらめるのも一つの解決策です。午前1・午前2は60点が合格基準ですので、苦手分野に対策時間を奪われるくらいならあきらめましょう。

その際、必ず過去問を3〜5年分くらい見ておいてください。出題数が多い分野をあきらめると他の分野で相当頑張らないといけませんので、差し支えのない範囲をあきらめるようにしましょう。

午後2(論述・論文)試験について

過去に何度も受験していますが、毎回午後2で落ちてしまいます。どのように準備すればいいですか?

午後2はランクA〜Dで評価され、ランクAだけが合格になります。ランクB〜Dについては、IPAの試験要綱にその程度が定義されていますので、まずは過去受験された時にどのランクだったのかを確認することからスタートしましょう。

ランクCやランクDは、そもそも問われていることに答えていない可能性が高いです。問われていることに答えるとはどういうことかを伝えるのは非常に難しいのですが、論文事例集をたくさん読むことをおすすめします。

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ランクBは問われていることには答えているが、内容が十分ではないというケースです。別エントリーですが、そのためのスキルを紹介していますので、ぜひご覧ください。

私は字が汚いと言われることがあります。それでも午後2の論述試験に合格できますか?

採点者が読める程度の丁寧な時であれば合格できるはずです。私も決して字がキレイな方ではありませんが、相手から「読みにくい→内容が頭に入ってこない→評価できない」と思われてしまわないよう、丁寧な字を書くように気をつけました。

午後2の論述試験でどうしても指定文字数に到達できません

いくつか原因が考えられそうです。①経験面、②文字数を稼ぐテクニック面です。

①の経験面については、実務経験を積めるのが一番ですが、試験対策としては論文事例をたくさん読むのが効果的です。事例を読みながら登場するプロジェクトをもとにして、仮想のプロジェクト計画書を作成すると試験本番で効果的です。

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②の文字数を稼ぐテクニック面については、次のような点に気をつけてみてください。

  • 5W1Hを積極的に入れる
  • 当たり前のことを改めて主張する。(リスク管理に関する出題における例:リスク管理はプロジェクトマネージャの重要な役割である。なぜなら〜だからである。そのため、私は工程計画において以下の工夫をした。)
  • 重要な記述を繰り返す
  • 問題文から引用する(ただし、丸写しはNG)
論文の内容が十分なレベルなのか自己採点できません。どうすれば合格レベルか確認できますか?

合格基準は試験要綱で確認できます。自分の書いた論文がその基準を満たしていそうか確認しましょう。試験要綱の合格基準をまとめたエントリーがありますので、ぜひ参考にしてください。

試験対策のスクールであれば客観的に論文を添削してくれますが、受講料はばかにならないので、私は合格基準に照らしてチェックするのに加えて、テキストに論文事例集を購入して、事例集を読みまくりました。これによって、どの程度のレベルの論文なら合格と言えるのかを肌感覚で知ることができました。

合格基準は毎年同じですが、論文事例集は毎年新しいものが出版されます。私は最新のものを買いましたが、3年前のものは中古価格も安くなっているので、中古でも良かったな、と毎回後悔しています。

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コメント

コメント一覧 (2件)

    • @森本 智也様
      記事をご覧くださり、ありがとうございます。
      もしも気になることがあるようであれば、TwitterのDMやコメントでお気軽にご相談ください。

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