今後、大学の授業の一部はスタディサプリのようにオンラインで好きなときに受講できるオンデマンド型授業に変わると私は考えています。
2020年に一斉にオンライン授業が普及した際も一部は手作りのオンデマンド型授業でした。では、先生はどのような点に気をつけながら動画を作ればよいのでしょうか?そのカギはYoutuberにあります。この記事では、Youtuberから学べる「動画作成のポイント」を解説します。
学生のオンデマンド型授業の満足度が高いことがわかっています。さらに大学にもメリットが見込まれます。つぎの記事で詳細に解説しています。
- システムインテグレーターに10年以上勤務
- 現在、大学職員(エンジニア職)
- 教員、学生からオンライン授業の質問や相談を日々受けている
- ハイブリッド授業、ハイフレックス授業に対応
- Zoom、Meet、Google Classroomなどの利用支援
- 講師として学内研修のオンデマンド動画コンテンツ作成
Youtuberは定量的分析に基づいて動画作成している
Youtuberと聞くと、騒いでいるだけの動画や倫理的にきわどい動画を作っている人たちに思われるかもしれません。もちろんそういったYoutuberもいます。
でも人気が高く、継続的に再生回数を稼ぐYoutuberは視聴者の動向を定量的に分析しています。その結果を新しい試みとして動画に反映し、視聴者の反応を再評価しています。つまり、想像以上に「視聴者をつなぎとめる対策」をしているのです。
では、その分析の結果としてYoutuberはどのようなところに配慮して動画コンテンツを作っているのでしょうか?そのポイントを9つに絞ってお伝えします。
ポイント① 動画は結論先出し
Youtuberの動画は結論先出しです。ものごとを順序立てて説明するよりも、まず結論。動画が再生されるかどうかはサムネイルで気をひき、動画の最初の10秒程度で惹きつけられるかにかかっています。
オンデマンド授業動画は惹きつけなくても学生は見るよ
zzz…
ユーザーが視聴した4,000万本を超えるユニークな動画のうち300秒未満の動画に絞って離脱率を計測したところ、平均して最初の10秒で20%の利用者が視聴をやめてしまっていたそうです。さらに、30秒で33%、60秒で44%、90秒の時点では50%以上が離脱していました。
VideoBRAIN『動画の離脱率を抑えるメリットと制作ポイントとは?』
ポイント② とにかく図解
学習系Youtuberの動画はとにかく図解が非常に上手です。
例えば、書籍を動画にまとめているサラタメさんは一見難しい内容の書籍でも図解しながら、非常にわかりやすく解説し、まとめています。
視覚が理解に与えるインパクトを体験できます。一度ごらんになることを強くおすすめします。
ポイント③ 顔出しで満足度があがる
Youtuberの場合、顔出し(動画で顔を公開)すると視聴数がアップしやすいと言われています。それは顔出しすると、安心感があり、信頼感が増し、声だけの動画と比べて表情で伝わる情報があるためです。
では大学教授のオンデマンド授業ではどうでしょうか?私はオンデマンド授業でも顔出しする方が学生満足度は高まると考えられます。理由はつぎのとおりです。
- 親しみやすい
- 共感しやすい
- 顔出しせずに課題のフィードバックで厳しいコメントをされるとやる気が萎える
- 顔が出ている方が情報量が多く、伝わりやすい
ポイント④ 動画の長さ
大人が集中力の平均持続時間は約50分と言われていますが、「その中でも15分ほど高い集中を保ち、一旦落ちてから、再度15分間高い集中を維持できる」と言われています。
一方、Youtubeの優良な動画は10分程度であると言われています。これはYoutubeが10分以上の動画を高く評価するためでもありますが、集中力・離脱率とも関わりがあるかもしれません。Youtubeの動画の長さの初期値は15分に制限されています。
ポイント⑤ まとまった単位で振り返る
学習系Youtuberは動画の中のまとまった単位で「まとめ」を話します。
例えば、カレーの作り方を説明する場合、「材料をそろえる」「必要な道具を説明する」「下準備をする」まで終わって、「さあここから調理開始するぞ」という前にここまでのおさらいをポイントを押さえて説明します。ここまでが理解できなかった人がいた場合、ここで動画を見るのをやめてしまうからです。
オンデマンド授業においても同様に、授業の途中でまとめ・振り返りを行うことで「途中からまったくわからなくなった」という学生を救いながら進行することで満足度の高いコンテンツとなるでしょう。
ポイント⑥ 進行の型を確立する
学習系Youtuberは自分の動画に「型」を持っています。動画がいつものパターンで構成されているんです。例えば、最初に実験結果を示し、続いて原理を説明して、再度実験を行う。最後に応用的な話をする、といった流れです。
大学教授のオンデマンド授業においても「型」を作っておくと学習者側も楽になります。なぜなら、「型」があれば、どういったマインドセットで授業を聴けばいいのか学生にもわかるからです。
まとめ
この記事では、今後増えることが予想される大学でのオンデマンド授業づくりにおいて、Youtuberから学べる動画づくりのポイントを絞って解説しました。
- 結論を先出し。離脱を予防する
- とにかく図解でわかりやすく伝える
- 顔出しで学生の満足度が上がる
- 動画の長さは10〜15分単位にする
- まとまった単位でまとめや振り返りを設ける
- 授業進行の型をつくる
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