学校だけに頼らない!家庭でできるプログラミング教育教材をご紹介

 2020年から小・中・高等学校でプログラミング教育が必修化されます。学校では生徒一人ひとりにPCを用意する「GIGAスクール構想」も前倒しで実施されています。

 では、プログラミング教育も学校に任せていいのでしょうか?私は高等教育機関に関わるICTエンジニアですが、家庭での教育こそが重要だと考えています。この記事では、家庭でのプログラミング教育が重要な理由、家庭ではどのようなプログラミング教材を使うべきかについてご紹介します。

目次

プログラミング教育について知ろう

プログラミング教育とは、プログラミング思考・論理的思考の育成である

 おすすめの教材をご紹介する前に、「なぜ、プログラミング教育って必要なんだろう?」という点についてご説明します。結論を先に申し上げると、プログラミング教育の目的は「論理的思考力を身につけること」です。「プログラム言語の使い方を覚えること」ではありません!

 小学校でのプログラミング教育の必修化は平成29年に「新学習指導要領」で示されました。具体的には以下のように示されています。

小・中・高等学校共通のポイント(総則)

情報活用能力を、言語能力と同様に「学習の基盤となる資質・能力」と位置付け

小学校においては、文字入力など基本的な操作を習得、新たにプログラミング的思考を育成。

中学校においては、技術・家庭科(技術分野)においてプログラミング、情報セキュリティに関する内容を充実。

高等学校においては、情報科において共通必修科目「情報1」を新設し、すべての生徒がプログラミングのほか、ネットワーク(情報セキュリティを含む)やデータベースの基礎等について学習。

文部科学省「新学習指導要領のポイント(情報活用能力の育成・ICT活用)」

 『プログラミング的思考』とはなにかを説明するために引用を続けます。

自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組み合わせが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力

文部科学省「新学習指導要領のポイント(情報活用能力の育成・ICT活用)」

学校での一斉教育にプログラミング教育が向かない3つの理由

 「じゃあ、学校の授業にお任せ!」と言えるかというと、それは心配な面があります。プログラミング教育は学校での一斉教育には非常に不向きな授業だと思われるためです。その3つの理由を説明します

プログラミング教育を学校での一斉教育だけに任せるのはおすすめできない…

理由① 先生はプログラミング教育をやったことがない

 小学校・中学校の先生はプログラミング教育を実施したことがありません。もちろん、必修化に向けて一生懸命準備されていますが、一朝一夕で身につくものではありません。

 私は10年以上テクノロジー業界でICTエンジニアとしてプログラミングを若手社員に教育する立場にありました。日本のテクノロジー業界は文系出身者も多数参入してくる業界のため、若手には論理的思考力が不十分という人も少なくありません。そういった人たちに論理的思考力、プログラミング思考を教えるのは相手が大人でも決してかんたんなことではありません。

 教育側も実践を通じて、いくつかのつまづきのパターンを知ることで教え方を身につけていきますので、必修化後の数年〜5年程度は先生に期待しすぎるのは禁物と言えるでしょう

理由② 学校のコンピュータ環境が各学校によって異なる!先生は異動すると教材がリセットされる

 GIGAスクール構想で、各学校には生徒一人ひとりにPCが用意できるよう補助金が出ます。問題はそのPC(OS)が学校によって異なることです。具体的には、Windows、ChromeOS、iPadOSが補助金の対象なのです(正確には、文部科学省が提示する標準PCがこの3種類のOSに分かれている)。

 教員の立場で考えると、これまでWindowsOSで教えてきたのに、異動先の学校ではChromeOSだったり、iPadOSだったりするんです。これでは、先生が準備してきた教材はリセットされてしまいます。

理由③ 一斉教育で進めようとしても機器トラブルもあり、フォローも少ない

 国語や算数を教える場合と違い、コンピュータを使った教育にはテクニカルなトラブルがつきものです。ところが、公教育においてはティーチング・アシスタントは不在、あるいはかなり限られています。その結果、一斉教育では先生がトラブル対応に追われてしまい、肝心のプログラミング教育に割り当てられる時間が限られてしまうことも予想されます。

自宅でできるプログラミング教材

無料ならダントツ『Scratch(スクラッチ)

 スクラッチはアメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボが開発したプログラム言語で、小学生低学年でも自力で十分に楽しむことができます。多言語対応しており、日本語の「ひらがな表記」にも対応しています。

 さらにだれでも無料で使える点は非常に魅力的です。「うちの子がプログラムに興味を持つかわからない」という方でも無料なら気軽に始めることができます。

 スクラッチが小学生低学年でも楽しめる理由は「ビジュアルプログラミング言語」にあります。ビジュアルプログラミング言語とは「命令が書かれたブロックを並べることでコンピュータを動作できる言語」です。

 我が家では、『小学生からはじめるわくわくプログラミング2 Scratch 3.0版』でスクラッチの基本的なことを学び、より深く学ぶ段階で『親子でかんたん スクラッチプログラミングの図鑑 【Scratch 3.0対応版】』を使いました。大人がプログラミングを学ぶならインターネット上の情報だけで十分習得できますが、小学生低学年にインターネットを使って調べさせるのは難しいうえ、有害な情報へのアクセスリスクもあるため、本での教育がおすすめです。

有料なら「動かす喜び」が教材選びのポイント

 もしもあなたが「少しお金をかけてもいいかな」「子どもがすごく興味を持っているから伸ばしてあげたい」と考えて有料の教材を探す場合、私がおすすめしたいポイントは1つだけです。それは子どもが思わず『ママーーっ!プログラムが動いているーーーっ!!』と思わず大声を出すほど、ひと目で動きがわかる教材にすべきという点です。プログラミングをやったことがある方ならだれもが経験する「動く喜び」。子どもが継続するには「動く喜び」が非常に重要です。

 では子どもが「動く喜び」を感じるのはどのようなときでしょうか?「画面内でネコが動く」より「おもちゃのクルマが走る」の方が喜びが大きいことは言うまでもありません。

 『Z会プログラミング講座』ならレゴ®ブロックを組み立てて、試行錯誤しながらブロックを動かす感動を子どもが味わえます。基礎編は小学校1年生〜4年生推奨、標準編は小学校3年生以上が推奨(基礎編・標準編とも全12回分の教材)で、自宅に教材が届くため、親子のペースでじっくりと身につけることができます。

今日からできる!プログラミング教育で親に果たしてほしい役割

子どもが作った作品の最初で最高のファンはあなた

 あなたは、お子さんが作ったプログラムやブロックなどの作品の一番のファンでいてあげてください。お子さんがかんたんなゲームを作ったら、あなたはそれでおもいっきり遊んであげましょう。それだけで子どもはテンションが上がります。

 例えば、我が家だとNintendo Switch® の『スーパーマリオメーカー2』という「ゲームが作れるゲームソフト」が入り口でした。子どもが作るゲームステージを私自身が楽しみながら遊ぶことで、子どもが喜び、あっという間にゲーム作りにハマり、プログラミングにも興味を持つようになりました。

 子どもを「褒める」のはタイミングや褒め方が難しいと感じる人がいますが、「作品を楽しむ」のは少しハードルが下がりますよね。だまされたと思って一度試してください。

子どもがマイペースに学べるマイPCを用意しよう

 予算が許せば、お子さん専用のPCを用意しましょう。PCといっても安価なものが多数あります。自宅でプログラミング教育をするためのおすすめPCを記事にしていますので参考にしてください。

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