個人が意見を気軽に発信できるSNS(ソーシャル・ネットワーク)、便利ですよね。使わない日はないと言っていいほどです。でもあなたが就活中だとしたら、あなたがSNSで発信している内容は人事採用担当者にも見せられる内容でしょうか?
「見せられないようなことを発信してはいけません」と言うつもりはありません。ただ、努力して掴んだ内定や採用予定をSNSが原因で取り消されるようなことがあるとしたら、未然に予防したいですよね。この記事では、どのような範囲でSNSがチェックされ、どのような内容がNGなのか、そしてSNSで不採用にならないよう、予防策について説明します。
・人事採用担当者はSNSの何をチェックしているのか?
・SNSで避けたい発言
・SNSで不採用にならないための対策
人事採用担当者はあなたのSNSを見ているか?
私は多くの企業の人事採用担当者と関わる機会があります。結論を先に言うと、人事採用担当者はSNSをチェックします。実名での登録が原則の Facebook はもちろん、本名を使わない Twitter、Instagram もチェックしているケースもあります。本名を出していないケースでも特定できるケースが多いと言います。これはインターンに参加した際に他の学生とつながって相互にフォローしているようなケースです。
ここではまず人事採用担当者は、あなたのSNSでの発信を検索して見ていると思った方がよいでしょう。では、なぜあなたのSNSをチェックするのでしょうか?理由は大きく分けて2つあります。
SNSをチェックする理由① 『本来のあなた』をもっと知りたいため
人事採用担当者があなたのSNSをチェックする理由は『本来のあなたをもっと知りたい』からです。『本来のあなた』と言った背景は、あなた(あなただけではなく就活生)が提出する履歴書やエントリーシート、志望動機はいくらでも「盛れてしまう」からです。
エントリーシートの「志望動機」や「学生時代に力を入れたこと」はもはやテンプレートがあり、どの学生も似たりよったりです。また、その内容の真偽は面接で詳細を聞けば大筋でわかりますが、程度・度合いはいくらでも盛れてしまいます。脳内で面接シミュレーションを繰り返して臨まれると真偽は確認のしようがありません。
でもSNSの発信内容を確認すれば、本人が面接で話していた志望動機とのギャップに気づくことがあります。人事採用担当者は『本来のあなた』が知りたくて、あなたのSNSをチェックするのです。
SNSをチェックする理由② コストをかけずに調べられるため
Facebook や Twitter で問題発言・問題行動が発覚したというニュースが毎年のように聞かれます。企業側は新卒とはいえ、無視できないコストをかけて採用試験を実施し、採用予定者を決定します。採用の確定後(場合によっては入社後)に採用者の問題行動に気づいた場合、ここまでかけてきたコストが無駄になります。
一方、人事採用担当者がSNSをチェックするのにコストは不要です。早い段階、つまり採用試験の段階でSNSをチェックして、問題行動に気づけば無駄なコストを発生させずに済むからチェックするのです。
この「低コストでリスク低減できる」という点がポイントです。学生の中には「身辺調査のようなことまでされるんでしょうか?」と過度に不安を感じているケースがあります。実際に「裏アカウント調査」を請け負うようなサービスがあるのも事実です。しかし、あなたがよほど重要なポストの候補者でもないかぎり、身辺調査を受ける心配は無用です。なぜなら、このような調査は非常に高額だからです。多くの新卒採用者を対象にこのような調査をしていたら、いくらお金があっても足りません。
NGの例・望ましくない例
SNSでの発信だけを理由に不採用になるというのは考えにくいですが、NG、または望ましくない発信があるとあなたへの評価にとってマイナスになります。では、具体的にどのような内容がNG・望ましくない内容なのでしょうか。
NG発言① 企業情報を漏らすような発言
採用試験に関する発言はNGです。採用試験の公平性に関わり、その企業に迷惑をかけることになります。
さらに顧客情報を漏らすような発言は当然NGで、訴訟に発展するリスクすらあります。というような内容は、採用される企業だけでなく、その企業のクライアントに迷惑をかける行為であり、これが見つかるようなことがあれば、ほぼ100%不採用になるでしょう。
NG発言の例
「採用面接で志望動機と入社後にやりたい仕事を聞かれるよ」
「SPI はA商事と同じ内容だった」
「インターンでクライアントのB株式会社への提案書を作成した」
「インターンでCセールス株式会社で販売促進イベントを手伝うんだけど、ゲストに俳優のDさんが来るらしい」
NG発言② ネガティブな発言
就活で不採用が立て込むとついネガティブな気分になって、そのような発信をしてしまうケースがあります。ネガティブな気分はしっかりと解消する必要がありますが、例えば他社のことであっても企業へのネガティブな発言をSNSで発信してしまうと、それ自体がマイナス評価につながる可能性があります。
NG発言の例
「A社の最終面接まで進んだのに、圧迫で最悪だった」
NG発言③ モラルに反するような行為・迷惑行為
他人を傷つける可能性のある差別的な発言や、過度な飲酒の様子がわかる動画や写真、迷惑行為にあたるような内容を発信していると、当然マイナス評価につながります。特に過度に飲酒している様子の写真をタグ付けされて個人を特定されるようなケースには十分に注意が必要です。
NG発言④ 犯罪行為・反社会的勢力との関わり
犯罪行為や反社会的勢力との関わりは論外です。未成年であるにも関わらず飲酒・喫煙をしたり、法定速度を超過した運転といった様子はSNSで検索すると散見されます。
採用する側と採用される側では「問題視する内容」にギャップがある
一方、「めちゃめちゃオタクな趣味を発信してるんですが、不採用になりませんか?」というような声を聞くことがあります。そのような内容は過度に心配する必要はありません。むしろ、あなたらしさが出ているのであれば、隠す必要はありません。また、そのような理由で不採用にするような企業であるなら、隠して入社しても辛い思いをするかもしれません。むしろ、入社前にそのような狭量な企業とお別れできてよかったと考えるべきでしょう。
今からできるSNSの対策
鍵アカウントに変更しましょう
Twitter や Instagram はあなたが承認しないと投稿内容が見れないように鍵アカウントに変更しましょう。
投稿の公開範囲を制限しましょう
Facebook は投稿の公開範囲を「友だち」までに制限するなど、範囲を見直しましょう。また、Facebookでは友だちが勝手にあなたをタグ付けして、「AさんはBさんと一緒です」というような投稿が可能です。タグ付けも許可/不許可を設定できるので、これを機に見直しましょう。
不適切な発言は削除しましょう
削除してもコピー(いわゆるデジタルタトゥー)が残っている可能性がある点がSNSの怖いところですが、不適切な発言や発信がある場合は、今からでも削除しましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?私は学生からSNSに関する相談を受けたとき、「SNSで発信する内容は、あなたが自宅のドアに大きく貼り出せる内容にしましょう」と答えるようにしています。身元が明らかで誰に見られても問題のない内容なのかを確認してから発信できれば、SNSで就活に失敗するようなことはないでしょう。
Yahoo! JAPAN でも裏アカウントの特定について、記事『就活生の「裏アカ」特定サービス、運用開始1か月の実態 「成績優秀な受験者が裏では……』になっていました。ご紹介しておきます。ヤフーコメントを見てみると、裏アカウントの特定を委託する企業体質への批判が強い一方で、そもそも裏アカウントであっても他人に言えないようなことをインターネット上にアップする方が悪い、インターネット上でプライバシーが守られると考える方が甘いといった意見まで聞かれていました。
コメント