通勤手当が廃止される時代!テレワークを本格導入した場合の効果を試算してみた

 通勤手当を廃止し、在宅勤務手当を支給、拠点への出勤時には交通費を実費精算で支払うというニュースが最近いくつも発表されました(ホンダや大東建託、ソフトバンクグループやNTTグループ等)。

 このように制度を変更するということは、新しい日常に合わせた『新しい働き方』へのシフトに本腰を入れてきたと考えることができます。従来からテクノロジー関連企業においては、全面的にテレワークが導入されてきましたが、ホンダや大東建託といった伝統的な大企業においてもその動きが活発になったことで、今後さらにこの動きが加速することが予想されます

 この記事では、一時的ではなく、恒久的にテレワークを導入した場合の費用対効果を試算してみたいと思います。

この記事をおすすめする人
  • テレワークの導入を真剣に検討している中小企業
  • テレワークの導入で固定費の削減を検討している方
目次

効果試算の前提条件

 通勤手当の廃止(=在宅勤務手当の新設+交通費の実費精算)は効果があるのか、試算してみる前に、前提条件をいくつか置いておきます。

前提条件
オフィスワーカー中心の業態である。(工場や倉庫など物理的なスペースや設備を必要としない)
一部の従業員を在宅勤務にする(オフィスワーカーがゼロになるのではない)

この前提で、試算のためのサンプル企業は次のように想定しておきます。

<サンプル企業
所在地:大阪府大阪市北区(平均的な賃料)
従業員数:100名(従来は全員がオフィスワーク)
通勤手当:全額支給(平均的な支給額)

<サンプル企業のテレワーク方針>
テレワーク対象:従業員の半分(100名中50名)をテレワークにする
テレワーク対象者の通勤手当:廃止(オフィス出勤時は実費精算する)
テレワーク対象者のオフィス出勤頻度:月4回(週1回程度)

費用削減効果

通勤手当

 平成27年就労条件総合調査によると、平均的な通勤手当は11,462円とのことです。また、企業規模によっても異なるようです。ここでは平均値を使います。

サンプル企業の通勤手当削減効果
11,462円 × 50名 = 573,100円(月額)

オフィス賃料

 オフィス賃料は地域によってかなり異なります。かつ、削減効果においても非常に大きなウェイトを占めています。相場の平均的なオフィス賃料は以下で調べることができました。

 一方、従業員1名あたりに必要となるオフィスの面積は同じです。一般的に8.5平方メートル/名 と言われています。

<サンプル企業のオフィス賃料削減効果>
100名(従来)の場合のオフィス賃料:8.5平方メール×100名=850平方メートル=257坪
これを約130坪のフロアを2面借りていたと試算する。
130坪のオフィスの平均坪賃料は21,700円/坪であり、130坪で2,821,000円/月
つまり、260平方メートルで「5,642,000円/月」だったオフィス賃料が半分の「2,821,000円/月」になる計算です。

費用削減効果(まとめ)

<サンプル企業の場合>
通勤手当削減額 = 573,100円
オフィス賃料削減額 = 2,821,000円

合計 3,394,100円(月額)

 なお、本来はオフィスワーク用のインターネット回線費用や光熱費等も削減効果が期待できますが、今回は一旦無視しておきます。

追加費用

在宅勤務手当

 報道を見ていると、月額で3,000円〜4,000円程度が相場のようです。これには自宅の通信費や光熱費の一部を会社が負担する目的のようで、通勤手当同様に、法律で定められたものではありません。そのため、不支給を含めて調整が可能な項目になりますが、ここでは一旦、月額3,000円で試算します。

<サンプル企業の在宅勤務手当支給額>
3,000円 × 50名 = 150,000円(月額)

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記事更新(2020年9月10日)
IT企業のテレワークに係る在宅勤務手当に関する記事が出ていましたので、紹介します。IT企業の手当の相場は5,000円のようです。

交通費(実費精算)

 テレワーク対象者がオフィスへ出勤する頻度に寄りますが、ここではサンプル企業のテレワーク方針では月4回(週1回程度)をベースに算出します。また、自宅からオフィスまでの交通費ですが、平均的な通勤手当額(11,462円)から考えると、片道500円程度と想定しておきます。

<サンプル企業の交通費(実費精算)>
往復1,000円 × 4回 × 50名 = 200,000円(月額)

テレワークのためのツール費用

 テレワークを本格的に進めようと考えたときに必要となるツールは大まかにいかに集約できそうです。

テレワークに必要なツール
1. グループウェア(サイボウズやGoogleのGoogle Workspace等によるスケジュールや資料の共有)
2. テレビ会議システム(ZoomやGoogle Hangout Meet等)
3. チャットコミュニケーションツール(SlackやChatwork等)

 この中で、「グループウェア」については一旦試算からは除外します。その理由はすでにグループウェアは導入済みの企業が多いこと、また「テレビ会議システム」に「Hangout Meet」を選択することでグループウェア機能も同梱されるためです。

テレビ会議システム

 トップシェアであるZoomの場合、プランによりますが月額2,200円〜2,700円程度です。Google の Google Workspace は月額1,360円で Hangout Meet に加えて、スケジュールやドライブといったグループウェア機能も使えます。ただし、これらはテレワークの対象者だけではなく、全従業員で使って初めて効果を発揮します。

<サンプル企業のテレビ会議システム費用>
1,360円 × 100名 = 136,000円(月額)

チャットコミュニケーションツール

 トップシェアの Teams や Slack よりも国産の Chatwork が月額が安価なため、ここでは Chatwork にします。こちらもテレビ会議システム同様に、全従業員に導入しなければ効果は薄いため、全従業員分で試算します。

<サンプル企業のチャットコミュニケーションツール費用>
500円 × 100名 = 50,000円(月額)

追加費用(まとめ)

<サンプル企業の場合>
在宅勤務手当支給額 3,000円 × 50名 = 150,000円(月額)
交通費(実費精算)往復1,000円 × 4回 × 50名 = 200,000円(月額)
テレビ会議システム費用 1,360円 × 100名 = 136,000円(月額)
チャットコミュニケーションツール費用 500円 × 100名 = 50,000円(月額)

合計 536,000円(月額)

考察

 個別企業毎に事情は異なるでしょうが、平均的な数字を使って、従業員100名のサンプル企業では次のような結果になりました。通勤手当を完全に廃止することで、それを原資にして、在宅勤務手当と交通費(実費精算)、テレワークに必要なツールをまかなうことができました

 さらに、常時出勤するオフィスワーカーの数を削減することで、オフィス面積と賃料を低減できれば、その分はそのまま固定費の削減につなげることができそうです。

費用項目削減できる費用追加が必要な費用
通勤手当削減573,100円
オフィス賃料削減2,821,000円
在宅勤務手当を支給150,000円
交通費(実費精算)200,000円
テレビ会議システム136,000円
チャットコミュニケーションツール50,000円
合計3,394,100円536,000円

 これ以外の費用として、「PCはどうするんだ」「客先訪問する時の交通費も必要だろう」といったことも考慮が必要になるかもしれませんが、これらはテレワークであってもオフィスワークであっても必要になる費用のため、一旦試算から除外しました。企業毎の個別の事情で考慮すべき場合には、試算に加えるべきでしょう。

記事更新
Googleが2020年10月6日(火)に『G Suite』の名称を『Google Workspace』に変更したことにともない、本記事も該当箇所の名称を変更しました。

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